耽溺クライシス

□あれ
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「景莉、テレビつけて」


『あれ見ようよ、あれ』


「どれ」


『女性死神協会のニュース』


「ああ、はいはい」


女性死神協会の番組は人気があるらしい。

男性死神協会もこれほどあったらいいのに


「男性死神協会ってあれだよな」


『どれ』


「ださい、地味」


『自分で言って悲しくない?』


「惨めになってきた」


『でしょうね。』


そんなことより背中が痒い。

そう、こんな時はあれだ。



「景莉、あれとって」


『どれ』


「あれだ、あれ」


『どれだっつーの』


「察しろよ」


『テレパシー送ってよ、感じるから』


「もう自分で取ってくる」


『良い手段だね』



「これだよ」


『どれだよ、あたしの後ろで言われても困る。持ってきて』


「これ」


『あー・・なんだっけそれ』


「なんとらの手」


『えっとー・・可愛い名前だった気がする。あれだよ・・あれ』


「あ、俺分かっちゃった」


『何々?』


「知りてえか?」


『わかんないままだと寝れない』


「お前は昼寝したから今の時点でもう寝れねえよ」


『早く言ってよ』


「しょうがねえな。その名も孫の手」


『あー。そうだったね。ってか怖っ!孫って・・』


「子供の手よりマシじゃね?」


『子供の手って恐怖だね』


子供の手って、笑える。





『修兵、茶』


「・・・っ・・・っっ」


『何ツボってんの』


「子供の手とか。ホラーかよ」


『自分で言ったんでしょうが』


「腹いてーっ」


『もううるさいーっ、黙ってよ。テレビの音聞こえない』


「ぶっ・・・っ・・っ・・!!」


『いい加減にしないとあれするよ。あれ』


「悪ぃ悪ぃ、止める。今止める。」


『それでよし』



「なあ、あれって何?」


『今ですか。あれはあれだよ』


「あれって何だよ」


『カメハメ破』


「出せんの!?」


『もーっ。うーるーさーいー』


「待て待て、事は重大だ。」


『カメハメ破は撃てます。ハイ終了』


「ちょ、出して!撃って撃って!」


『顔面に当ててもいいならいいよ』


「なんだよ、出せねえのかよ」


次の瞬間、真正面から景莉の頭が突撃した


要するにただの頭突きなんだけど、デコが地味にいてぇ。


「あれって頭突きのことかよ」


『まじ黙って』


「お口チャックかよ」


生意気っぽく言ったら次は手刀を喰らった

突然パワー上がりすぎだろ。

頭突きより痛いってどういうことだ


カメハメ破を顔面にやるのと一緒じゃねえか


「痛ェんだけど」


『うるさい』


「謝れー、謝罪を要求する」


『修兵の所為でテレビ見る気無くしたじゃん』


「んじゃ謝罪の代わりにカメハメ破うてよ」






次の瞬間破道の四、白雷が飛んできた







ああ、なるほどな


(白雷とは考えたな)
(違うよ、カメハメ破だよ)
(部屋に穴開いたんだけど)
(違うよ、扉を作ってあげたんだよ)
(別に扉に困ってねえんだけど)







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