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□口の中に愛を
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麦わらが…ルフィが(まだこの呼び方はなれない)
トリプルのアイスを二つもって走ってくる、季節はもう秋だというのに
楽しげに、
今おれらはいわゆるデートってやつをしている
「キッドはチョコミントな!」
チョコミントは嫌いだったが迷わず口にふくんだ
「麦わらのはなんだ?気色悪い色だな」
軽く笑うと麦わらも笑ったそのすぐあと拗ねたように口を尖らす
「ルフィ」
「?」
「名前で呼べって言ったじゃねえか」
あぁなるほど、
麦わらいわく恋人らしいことがしたくて昨日突然名前で呼んで、と強請ってきたいざ名前を呼ぶとなったら変に照れてしまいなかなか呼べるもんじゃない
「名前なんか関係ねぇよほら映画館いくんだろ」
ベンチから立ち上がって歩きだそうとすると手をひかれた、冷たい
「手ぇ繋ぐぞ!」
にしし、相変わらずの笑顔で
あぁ馬鹿みてぇ
とりあえず麦わらと映画館に向かって歩く
麦わらは一歩一歩が楽しいようで手をぶらぶら揺らした
だいぶ恥ずかしかったがそのままにしておいた
「よしっキッド予定変更だ!ぶらぶらすっぞ」
「ハートの海賊と麦わら帽子の少女見るんじゃねぇのかよ?」
「んー…あとちょっと散歩したらそのシリーズのDVD借りにいっておれんちで見るぞ…あ!あの公園いこーぜ」
麦わらが指差すと寂れた公園がそこだけ切り取られたようにぽつりとあった
麦わらはブランコにのったりすべり台ですべったり、おれはそれを近くのベンチで座ってぼんやりみていた
一人であれだけ楽しめるのも才能だな、
「キッドつかれた、あちい」
おれは寒い、とだけ伝えるとすぐ駆け寄ってきた
隣にちょこんと座るとおれの手を握った
「冷たい」
「だろーな」
「ところでキッド」
「なんだ」
「口あけてみろ」
「嫌だ」
「なんでだよ、」
麦わらがじぃと見る
仕方なく口を開けたとたん顔が近くなった、と思ったら唇がくっついて口の中に何かがはいった
「ぷれぜんと」
照れたように笑って麦わらはまたブランコの方へ走っていったおれはそれをぼんやり見ていた
なんだか夢心地
(口の中に愛を)
(麦わらはこっちをみてレモン色な舌をだす)
(ベタな話。)