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□笑わせておけ
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「おれ、エースがすきみたいなんだ」
突拍子のないことを弟はいつも言う
今回もそういったたぐいだろうと思いあいてにしなかった
「あぁ、はいはいわかったよ、これ机に運んでおけ」
「エースちゃんと聞いてんのか?さいきんずっとだ」
あきらかに機嫌が悪い
「聞いてるっての、よろこべ今日はルフィの好きな肉だ」
さぁはやく機嫌をなおしてくれ
「…わかった」
変だ、おかしいいつもはある程度、機嫌なおして喜ぶのに
「なんだ、ルフィ兄ちゃんにその態度はだめだぞ」
ちゃかして、いつもみたいに頭を撫でようとした「おれはエースのことが好きなんだ」
いつになく真剣でまっすぐにおれを見つめる
「おれも好きだ、ルフィどうしたんだ?いまさらなにいってんだよ」
わかってんだよそんなことくらい
「おれ、はえーすのこ、とが、」
「はやく食えよ冷めちまうぞルフィ」
あぁ泣きそうになってんなルフィのやついつもの癖だ泣きそうになると下唇をかんで服の袖をひっぱる
「もう、いいや今日、ローとキッドと飯くってきたんだ」
嘘つけ腹なってるぞ
「兄ちゃんがメシ作るっていつもいってるだろ
外で食べるときはちゃんと電話しろ」
「っえーすが悪いんだ!」
今のは腹が立った
「兄ちゃんのなにが悪いんだ?ルフィ」
怒鳴りはしなかったがつい声が低くなった
「エースが、おれ、のはなしきかねぇから…!
ほんとは全部わかってんだろ!?」ガチャン、ガラスの割れる音がするコップが落ちたようだ
「聞いてるだろ、メシいらねぇんだな?これも、これも」
次々にルフィのためにつくった料理をゴミ袋に捨てていくルフィの顔は見なかった、みれるはずがなかった
「おれ今日ローん家泊まってく…」
ルフィの声を聞いて我に返った
「…わかった…朝はこっちよってから学校行けよメシつくっとくから
ごめんな?ルフィ…」 できるだけ優しい声でいった声は震えていないだろうか
「わかった、ごめん、えーす」
なんだかいじらしくてルフィの頭を乱暴になでた「迷惑かけんなよお前寝言と寝相わりぃから」
「エースもだろ」
ししし、やっとルフィの笑顔がみれた
ルフィが泊まる準備をしているのをみて
むなしくなった
「いってくるな!エース」
「いってこいルフィ!」ドアが閉まる音がした
わかってるんだ、ルフィのいいたいことくらい、自分のことだって
けれど認めてしまえばなにかが壊れてしまうんだここ何ヶ月ずっとこうだ気持ちをつたえればいいのか?きっと幸せだろう「兄弟」の関係に満足はしていないけど嫌いじゃないんだ、矛盾してる
なさけねぇ女々しいことくらいわかってんだ
あいつはこんな兄ちゃんを笑ってくれるか?
「笑えねぇよ…な」
あいつが太陽のような笑顔を向けてくれるかぎりおれは大丈夫だこの関係も

(この感情の名前くらいわかってんだ)

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