淡雪

□始まり
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和葉side





私が化け物たちがいるところに居合わせたのは偶然だった。





私は記憶がない。




気がつけば、陸奥の国の山奥の村にいて、そのまわりは家だったものが焼け落ちていて、ところどころに焼死体が何体か転がっていた――そんな状態だった。





びっくりした私はその場から逃げるように村を後にした。





その私が覚えていたものは、自分の名前と、













――自分が雪女である、ということだった。






あとは、力の使い方と、力の封印の仕方、それだけだった。






私が立っていたあの場所で何があって、何故あのような状態になってしまったのか…気になるのだが、記憶というものは無理に思い出せるものではない。





とりあえず人に流されるがままに旅をしてきたらいつの間にか京の町に辿り着いた。





そして、宿を探して暗い京の街を歩いていると、遠くから断末魔のような悲鳴。




そのとき私は何故か嫌な予感がしたのだ。





導かれるがまま、足を進めるとそこには家と家の間にある板に隠れるように身を隠す男装をした女の子がいた。




その子は浪士たちを切り刻む化け物に恐怖を感じてか、立てかけてあった板を倒してしまった。





その音に反応した化け物たちはその女の子に向かって刃を向ける。




――まずい…




そう思っていたときにはもう身体が動いていた。




ガキィイイン…





『狂ったお兄さん方、その子じゃあなくて私を相手にしてよ』





そうして現在に至るわけだが、






私が3人の化け物を倒せる確立は0に等しい。





封印を解けば倒せるのだろうが、むやみやたらに封印を解くのはよくないと思い、思いとどまっている。




それに、きっと本当の姿を見せてこいつらを倒した瞬間にこの子は一生怯えて生きることになるかもしれない。




本当のことを言えば、この子を助けるつもりはなかった。




関わりなんて1つもない、初めて会った子なのに、何故か、護らなければ…という使命感に駆られたのだ。





そんな私に出来ることはただ1つ。







――この子をこの場から逃がす







それだけだった。












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