淡雪

□始まり
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文久三年、十二月――



「はぁ、はぁ、」







一人の袴を穿いた少年…いや、少女は夜の京を走り回る…






理由は簡単だ、後ろから怒鳴りながら追ってくる3人の浪士から逃げているためだ。






そして、狭い路地に入り、家と家の間に身を滑り込ませた。








「?」






しばらくしても追ってくるはずの浪士たちの怒鳴り声や足音が聞こえなくなったことを疑問に思ったそのとき、










「ぎゃあああああっ!?」







今まで追ってきていた浪士たちの絶叫が聞こえたのだ。






「なんで死なねぇんだよ!
 こいつら刀が効かねぇ!」






得体の知れないそれを知ろうと思ったのか少女は路地から顔を出した。






そこにいたのは、




「ひゃははははははは!」




なんのためらいもなく浪士を斬り殺す化け物。





――ガタン、






少女はあまりの恐怖に立てかけてあった板を倒してしまった。






浅葱色を纏った化け物たちは新しい獲物を見つけたかのように喜んでいた。







――死んでしまうかもしれない






少女がそう思ったときだった。






――ガキィイン…





『狂ったお兄さん方、その子じゃあなくて私を相手にしてよ』





少女の前に現れたのは、濃い茶色い髪を高いところで結い、全体が白い大きな刀を持った女の子。






まるで、雪のような感じをさせる…そんな子だった。











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