好きと嫌いとイコールは?

□第1話
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どうも、こんにちは。水瀬凪です。

やりたくもない生徒会でしかも会長をやっています。
今もそのせいで朝早くから生徒会室に向かっています。
うぅ、別に昼休みとかにやればいいのに…、こんな時間運動部だっていないんじゃないかなぁ。
ぶっちゃけ、今からでもやめたい…!!
でも、そんなこと言ったら皆の期待とか信頼とか
その他諸々を裏切っちゃうので言いません。


それも関係あるのか、関係ないのか最近胃が痛い。
胃薬の消費量半端ない。
薬局で胃薬買いすぎて、店員さんに〈…無理しちゃだめよ(生温い目)〉と言われたときは、
泣きかけた。
何故この年でそんなこと言われないかんのだ。


「はぁ……」


ため息吐いたら不幸になるとか言うけど、多分本当。
だからあたしは不幸とはいわないけど、良いこともない。


「ぐぇっ!?」


朝から鬱々オーラを放出しまくりのあたしの背中になにかが突っ込んできた。
え?なに?通り魔?


「えへへー、凪ちゃんおはー」


「え、あ千紗。おはよ」


どうやら、通り魔は千紗だったらしい。
にこにこしながら、手をピースにしている千紗に挨拶しかえすと
「元気ないねー」なんて世間話が始まる。


「あ、もしかして凪ちゃんって今流行りの低血圧?」


「いや、流行ってないと思うよ?
別に、低血圧じゃないよ。朝は少しテンションが低いだけ」


「へー、そうなんだー」


「千紗は朝から元気だね」


「うん!いつでもこのテンション維持できる自信あるよって、あぁっ!!」


「うぇっ!?な、なに!!?」


「テニス部が朝練してる!!
こんな朝早くからしてるなんて、すごいね!!」


「え、あぁそうだね」


ととっと、開いている窓に駆け寄り下の多分テニスコートを見る千紗。
てか、よく見えるな。
ここ三階なんだけど…、そういわれると遠くの方でボールが跳ねる音が聞こえる。


「ふぁ〜、幸村様今日も神々しいよ〜。
神の子というよりは神そのものだよ〜」


頬を紅潮させ、ありがたやーとでも言いそうになりながら
手を合わせているところを見ると、またため息を吐きそうになる。


この子、マジ残念。
出会ったとき、て言うか去年同じクラスになったときも思ったけど、
千紗は幸村の事となるとすっごく残念。
いつもは真面目な良い子なのにな。


「…ねぇ、千紗ってさ、幸村のこと好きなの?」


そう言えば、キョトンとした顔で「全然」と真顔で言うので、
どう対応したらいいのかわからない。


「ふふ〜、今日は朝から幸村様見れちゃった!
良いことありそう!!」


嬉しそうに鼻歌を歌う千紗に少しその元気分けてくれと思いながら生徒会室のドアを開ける。


「あら、水瀬さん、源さん。おはよう」


「ん、おはよー」


「おはよう、雅、鈴奈」


「二人共おはー、早いねぇ」


すでに来ていたらしい雅と鈴奈に挨拶して、席に座ろうと思うが少し考える。



「(どっち座ろう…)」


雅と鈴奈は向き合って座っているから、
空いているのはその横の席だ。


別にどっちとも仲が良いから、どちらでも良いけど…。
なんか考えてしまうあたしの癖。


「わたし雅ちゃんのとーなり!!」


「ち、ちょっと!近い!!」


ガタンって音をたてながら、椅子に座りながら椅子同士を近づけさせる千紗に雅が、
少し面食らったような顔をしている。


「ねぇ、鬱陶しいんだけど!!」


嫌々と首を横にふる雅の腕をガッシリ掴んでいる千紗は
ご機嫌だ。


「えー、だって雅ちゃん、お話ししようとすると逃げちゃうでしょ?
それなら、逃げる前に捕まえちゃえーって思ったんだけどなぁ」


「べ、別に逃げてないっ!!」


「それにさ、こうやって捕まえると仲良さげに見えることない?
これを気に雅ちゃんわたしのこと名前で呼んじゃおうよ!!」


「いや!!」



警戒心全快の猫みたいな雅を見て、
なんかこの子も思っているのと違ったなぁと思う。

知的で綺麗で、優しくて大人って思ってたけど、
何時もは意識して大人っぽく振る舞っているのだろうか。
今の雅はなんというか、年相応って感じだ。
もちろん良い意味で。



くんっと袖を引っ張られた。
この状況だと引っ張てるのは鈴奈しかいない。


「凪、座らないの?
わたしの隣、嫌?」


こてんっと首をかしげて、あたしのことを不安気に見ている。


「あ、ごめん。ぼーっとしてた。
嫌じゃないよ」


「そうなの?良かった」


ほっと鈴奈の雰囲気が和らいだ。
前に口を叩いたことを気にしているらしい。
がたっと椅子に座ると、隣で袋を破る音がした。


「朝ごはん?」


「うん」


鈴奈が持っている袋には〈食えるもんなら食ってみろ!!超特大メロンパン!!!〉と書いてある通り、
袋の中には鈴奈の顔より大きいメロンパンが入ってた。


「いただきます」


手を合わせて軽くお辞儀をしてから、鈴奈はむにむにとメロンパンをかじり始めた。

この子、全部食べれるのかな…?






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