好きと嫌いとイコールは?

□プロローグ
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「―であるからし、日々邁進するように」


長い長い校長の話しはいつも道理〈日々邁進するように〉と締め括られ終わった。
ずっと話しを聞いていた生徒達は、眠そうにあくびをする人や、既に夢の中の人、はたまた友達とひそひそ話しをしているひともいる。

校長がステージから降りると、年齢の割には老け顔の教頭の声がマイクをとおし響く。


「あー、これより今年度の生徒会の紹介をする」


静かだった生徒達がざわざわと話しだした。
それもそのはずだ。
この、私立立海大附属中学の生徒会には変わった制度がある。
それは、前年度の生徒会役員が翌年の生徒会役員を指名できることだ。
一年間学校中の人と関わった役員達が、〈この人なら大丈夫だ〉と思った生徒を自分の役員に指名する。
拒否権は例外を除けばあり得ないや、同性の役員が続くのもワンパターンになるので一年ずつ男女交代でやるなど、色々強引だがいまだにこの制度があるということは、みんな特別不満はないらしい。

そして、前年度の生徒会は男子だったので、今年度の生徒会は女子だ。

男子も女子も誰が役員かと予想しあっていた。


「なぁなぁ!仁王は誰が役員だと思う!?」


いつもはテニスとお菓子以外には基本どうでも良さげな丸井も、顔に興味津々とかいてある。
それに比べ仁王はつまらなさそうな顔をしながら答えた。


「そんなの、誰でもよか」


「えー?気になんねぇの?」


丸井が口を尖らせながら聞けば仁王はこくりと頷いた。

わあわあと騒がしい生徒達を横目に教頭は一度咳払いをすると、〈新生徒会、ステージへ〉っと声をかけた。
その声で静まる生徒。

数分たっても、しーんと沈黙は続く。
役員が出てこない。


「す、少し待っていなさい!!」


教頭がそう言い他の先生の元に駆けていく。
それを合図に、生徒達はまた騒ぎ始める。


「なんかあったんかなぁ?」


「知らんて」


ぷくぅっとガム膨らませながら聞いてくる丸井に、仁王は相変わらずつまらなさそうな顔でガムを割りながら冷たくいった。




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