とりっくあんどメシ!

□A N D
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そんなことを考えてたら普段より時間をくってしまって、慌てて家を出た今日の朝。

かったたるい授業も全て終え、現在は下校時刻。徐々にひと気のなくなる教室を眺めながら、神様今日もいつも通り一日を過ごしました、平和な一日でした、なんて反省してみた。本当にいつも通り過ぎていった今日という日。

予想通り今日がハロウィンとかクラスで盛り上がってたわけもなく、黒板にかかれた日付なんて先週の火曜で止まっていて(仕事しろよ日直!)。



そしておれのスクールバックの中には、

例のモノが入っている。



(いやいやいや、今更もう出せねえよ)



完全にタイミングを失い、とうとうココまでカバンの中で待機となってしまった哀れなおれの自信作。だけどこの期に及んで「タルト作ってきたぞー!ハッピーハロウィンっ!」とか言えない。無理無理。



ここでちょっと話を戻させてもらうと、今日確かにクラス内でハロウィンについて盛り上がることはになかった。
だがハロウィンという単語が一切出て来なかったのかというと、そういう訳ではない。出ることには、出たのだ。


(はぁ……)


しかしそれが、おれとタルトをこの状態にした一番の原因でもある。




「今日エースとサボとハロウィンパーティーやるんだ!!」

クラスに入って早々、こんなことを叫び出したアイツ。仕事で海外に行っていた兄二人が久しぶりに帰ってきたから、パーっとやるのだという。
あの兄弟は仲がいい。兄貴の方とも顔見知りではあるが、あれは異常だ。ブラコンとかそういうレベルを超越している。
まあそんな弟溺愛の兄から愛されて育ったアイツ、ルフィはもちろん兄貴たちが大好きで。本当に、本当に朝からソワソワ落ち着いていなかった。なんというか、楽しみオーラが身体中から滲み出ていた。


これに何故おれとタルトの運命が左右されたかというと。



「兄ちゃんたちがな、カボチャのタルトつくってくれんだ!」



全てはこの一言である。






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