とりっくあんどメシ!

□キラキラ。
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ルフィが張り切ってエースの元へ飛んで行き、
チョッパーが泣きながらカルーを追い掛けて行った後、
メリー号に残されたクルー達は、何やら話し込んでいた。


「なあビビちゃん…あいつ、あんな事を言っていたが、今のおれ達に、
悠長にイベントを楽しんでいる暇なんてないんじゃねェか…?」


サンジの言い分に、周りのクルー達もうんうんと頷く。
なんせ、自分達が今やらなければならないのは、
反乱軍の暴動を止め、クロコダイルの計画を阻止する事。
一分一秒を争うこの状況下、こんな所で
油を売っている時間など本当にないのだ。


「…大丈夫よ。」

「ちょっとビビ!!いくらルフィの発言だからって
無理して付き合う事なんてないのよ!?」

「そうだぞ!お前がお人よしなのは分かるが、
今回は自分を…国を優先していいんだぞ!!」


ナミとウソップが、心配から声を荒げる。


「…ビビ、お前にも何か、"考え"があっての決断なんだろ?」

「!!ええ、Mr.ブシドー。…皆さん、本当に大丈夫なんです。」

「「「「………。」」」」

「この国でのハロウィンは、"収穫感謝祭"の意味合いが強いの。
雨が降る事に対しての、感謝のお祭り。
尤も…今はその雨が降らずに困っているから、
雨乞い目的…という事になるのだけれど……。」


雨が降らない元凶の顔を思い浮かべ、グッと拳を握る。


「…───こんな日だからこそ、反乱軍は動かないと思うんです。
クロコダイルだって、自ら国民の信頼を損なうようなマネはしない筈。」


だから今日は私達もハロウィンをやりましょう、と笑うビビに、
それならば、とその場にいる全員が納得する。


「おーーい、エースを連れて来たぞ〜〜〜っ!!!」


ビビ達の想いも知らず、お気楽船長はエースと共に帰還する。


「…あっちも話は通ったみたいね。」

「ふふっ、ルフィさんだもの…"ダメだ"と説得する方が難しそう。」


呆れながら言うナミに、ビビがクスクス笑う。


「クエ〜ッ!!!」

「…動物組も帰って来たみたいだぜ?」

「あ、ホントだ!おかえりチョッパー!!カルー!!…って、
チョッパーの奴、カルーの背中に乗ってへばってやがるぞ!?」

「…そもそも"砂漠"でトナカイに全力疾走しろって方が無茶なんだよ。
ったく、クソゴムめ…。」


陸側ではゾロ、ウソップ、サンジがチョッパーとカルーの帰還を出迎える。


「ししし!!これで全員揃ったな!?
じゃあまずは、必要なモン買いに行かなきゃな!おれ行って来る!!」


甲板で両手を腰に当ててご満悦なルフィに、待ったがかかる。


「あんたまたトラブル起こすに決まってるじゃない!!」

「大丈夫だ!多分!!」

「アホか!今回もおれとチョッパーで…ってこいつは今無理か。」


未だへとへとのチョッパーを見遣りながらサンジが言う。


「…おれで良ければ一緒に行って来ようか?」

「「「「「!」」」」」

「こいつの我が儘に付き合ってくれるってんだ、
兄貴としてそんくらいはしないとな!
勿論金も全部おれが払う。必要な物があったら言ってくれ。」

「エ〜ス〜ッ!!」


食い逃げ常習犯故、金は割と持っている兄貴の非の打ち所のない発言に、
誰もが尊敬の眼差しを向け、当然、反論する者などいなかった。






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