とりっくあんどメシ!

□A N D
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高校、ましてや男子校となると、幼いころ親しまれてきた行事やら何やらは結構忘れ去られてしまうことが多い。

会話にふと出てきて「あ、今日七夕なんだ」とか、そんなもん。
というか今年はそんな会話すら出なかった気がする。ごめんな、織姫さん彦星さん。天の川はちゃんと渡れたかい。





まあそんなことはさておいて、本日10月31日。

冒頭にあんなこといっといてアレだが、おれは今日この日のイベントをしっかりと記憶してしまっていた。
「あ、今日10月31日なんだあ。ハロウィンじゃん」
なんてレベルじゃない。
10月入った瞬間から「今月末はハロウィンか」みたいな、そんな感じだ。
もちろん全力で仮装するとか、そういう訳ではないけれど。
一応料理人志望の性というか何と言うか。
少しでも食が絡むイベントは頭にインプットされてしまっているわけだ。


そして頭にインプットされてしまっているからには






手作りお菓子もちゃっかり用意しちゃってるわけだ。



(ぐおぉぉおぉ…!しまった何も作らないつもりだったのに…!)



出来上がった産物をみて頭を抱えるも、食品に罪はない。ついでにいうとおれにも罪はない。

だってハロウィンなんだもん。作りたくなっちゃうじゃんか。帰り道のスーパーでカボチャが特売だったら、買いたくなっちゃうじゃんか。


(そうだ、べつにおれは間違ったことなんかしちゃいない)


だってハロウィンなんだもん!


問題はこの可愛らしくデコレーションされたカボチャのタルトを学校にもっていった所で、本日がハロウィンだと記憶している奴が果たしているのだろうか、ということである。

間違いなく、いない。

というか奴らはきっと今日の日にちすら知らないだろう。

そんな中、この素晴らしく出来の良いタルトを「ハッピーハロウィン!!」みたいなノリノリで出すの嫌じゃん。なんか、さ。

あいつらなら喜んで間違いなく全部食ってくれるだろうけど、なんつーか、



(良い歳こいてハロウィンてのも…な)



うん。そうです、恥ずかしいんです。
妙なプライドだけ一丁前なおれだから、なんか嫌なんです!






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