とりっくあんどメシ!
□limitation
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『いいかお前らァ、ハロウィンだからって浮かれてんじゃねェぞ』
いつも通り教室に入って来た先生…いや、何だ、誰だお前…と言ってやりてェ。
『せ、先生?』
『あ?お前、もう既にお菓子を食ってるとはいい度胸だな…。浮かれてんじゃねェ!』
そう言って、ウソップの机をバンッ!と叩いた先生の格好は、まさにハロウィンで浮かれているヤツそのものだ。
『…アホじゃ』
『誰だ今アホって言ったヤツは!』
『先生ェ、カクくんです』
うちのクラスの担任、ルッチ。普段は冷静沈着で何考えてんだか謎なヤツ…が、今日はいつものスーツ姿じゃなく、オレンジのヒラヒラとした服を身に纏い登場した。
『浮かれてんの自分だろ…』
誰もが同じ事を思ったに違いねェ。しかも、肩に乗せているハトにまで、カボチャの着ぐるみを着せている。可哀相に。
『先生ってそういうキャラだったのね…』
隣のカリファが、おれに耳打ちをした。
『何だお前ら。文句あんのか?』
『あ…ありません』
昼休み。ハロウィンって事もあり、おれはちょっとしたプレゼントを用意して来た。
『わぁ!美味しそう!さすがサンジくん!』
愛しのナミさんとロビンちゃんに、真っ先にお菓子を持って行く。
『サンジスペシャルですナミすわぁん!ロビンちゅわんの方は、ちょっと大人な感じにしたんだよ?』
『ふふっ、ありがとう』
相変わらず美しい。カボチャの馬車で一緒に旅に出てしまいたい…。
『へェ…サンジ、お前随分と用意がいいな』
『うわ!ルッチ!』
『ルッチ先生と呼べ』
『…用意がいいのは先生の方ですよね?』
さっきのヒラヒラの服から、今度は魔女の服に着替えて来たルッチを見て、思わず本音が出た。
『うるせェよ。ところでお前…いいのか?』
『何がだよ?』
『あいつ、ふて腐れてんぞ』
ルッチが視線を送る先には、珍しく静かに机に伏せっているルフィの姿があった。
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