オリジナル
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-----教会 作業部屋
「嵐(ラン)兄ちゃーんっ!!」
「んあ?」
幼い子供に呼ばれ、振り返るや否や背中に強い衝撃が走る。
同時に作業をしていた手は止まり、目に着けていたゴーグルはずり落ちる。
「なんだ?またケガでもしたか?」
「ううん。桐生兄ちゃん、そろそろ帰ってくるよー」
「あぁ、もうそんな時間か。」
「シスターがご飯にするって。早く行こーっ!!」
「分かった分かった。だからそんな急かすな。髪を勝手に解くな」
作業に邪魔な髪をこの子供に解かれ、軍手を外す。
その場にポイっと放り投げ、少し伸びをすれば背中や首からコキコキと音がする。
少し体を楽にできたところで立ちあがり、子供に手を引かれながら作業部屋を出た。
-----食堂
食堂に入るなり、視界に映るのは食事の準備をするシスターと子供たちの姿。
そして子供たちは、俺の姿を見るなりブーイングの言葉を矢継ぎ早に浴びせる。
「兄ちゃんおそーい!!」
「もうお腹ペコペコだよぉ」
「たまには準備手伝えよぉ!!」
「あー、はいはい。悪かったって。次から早く来るし、手伝うから、な?」
「「「いっつもそればっかりー!!」」」
チビたちと俺のやりとりを見て、一緒に食事の準備をしていたシスターがくすくすとおかしそうに笑う。
そんなシスターを恨めしく軽く睨んでいたら、俺の背後から笑う声が聞こえた。
「相変わらずだなぁ、嵐は」
「うるせぇな。つかお前ら、桐生(キリュウ)も遅れてるのにこいつには何も言わないのか?」
「「「桐生兄ちゃんは別ー!!」」」
「…こんの、クソガキ共……」
「さ、皆。嵐をいじめるのはそこまで。夕食にしましょう」
「「「はーいっ!!」」」
シスターの言葉にチビ達は、各々の席についていく。
いまだに突っ立っている俺に、桐生はドンマイと言わんばかりに肩に手を置き、自分の席についた。
年下たちの俺の扱いに軽く溜め息をつき、俺も自分の席へついた。
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