オリジナル

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男を教会から少し離れたところに捨て、フレイルは来た道を戻る。
そして記憶を頼りになんとか医務室へと戻ってきた。
そこには嵐に手当をしてもらっている桐生と、桐生に手当てを施している嵐の姿。


「お、戻ってきたか。」


ちょうど桐生の治療が終わったらしく、彼の腕に包帯を巻き始めた。
出血の割には傷は大したものではなかったらしい。
大きめの絆創膏がところどころに貼られており、包帯は左腕だけだった。
最後にテープで止め、よしと嵐は呟く。


「フレイル、次はお前だ」


座れ、と言われおとなしく用意された簡易的な椅子に座る。
右手を取られ、ぐい、とグローブを無理矢理外される。
フレイルの右の手のひらは、中心を傷つけられ血が流れ出ている。
その血はグローブにも沁み渡っていて、黒であるにも関わらず赤く染まっているのが分かる程だ。


「結構深くやられたな…。少し沁みるぞ」

「痛っ……。」


桐生に見守られながら、嵐は黙々と治療を施していく。
痛さから涙目になりながらも嵐の治療を受けているフレイルを見て、桐生はある疑問が生まれた。

―――………やっぱり、細いよなぁ…

さっきは暗がりで、自分は意識がはっきりとしてなかったから分からなかったが、こうして見るとやはり細い。
服で隠れてはいるが、四肢は細く、筋肉もそんなに無さそうだ。
よくよく見れば、中性的に整った顔に首下あたりで雑に切られた髪。

―――え、もしかして……いや、でも…


ギィ、


そこへ小さな音を立てて、医務室の扉が開かれた。
それによって桐生の考えはそこまでとなる。

3人が扉の方へ視線を向けると、そこにいるのはシスターがいた。


「なんだ、シスターか…。」

「驚かせちゃったかしら?桐生もう平気なの?」

「うん。そんなにひどくないって」


笑顔で言う桐生に、シスターは安堵のため息をつく。

すると、シスターはフレイルの治療をしている嵐へと視線を変えた。
シスターの視界には荒っぽい治療を施され、泣いているように見えたらしい。




「嵐、そんなに荒っぽくしちゃだめよ。女の子なんだから」




・・・・・・・・・・・・。




嵐の治療の手が止まり、更には消毒綿を持っていたピンセットも落ちる。
桐生の思考も止まり、開いた口がふさがらない。

振りのその様子に、シスターとフレイルは疑問符を浮かべる。

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