オリジナル
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男は倒れた体を起こしつつ、自分の身に起きたことを脳内で整理していた。
―――…なにがあった、思い出せ
一瞬、フレイルの姿が消えたと思ったら、桐生の背に乗せていた脚を足払いされ、さらにもう片方の脚も蹴られ、バランスを崩して倒れた。
それをたった一瞬で、しかもあの細い体でやり遂げた。
男の額に気持ち悪い汗が滲みだしていた。
「なんだ、お前。さっきのケンカは本気じゃなかったのか。」
「じゃなかったら吹っ飛ばされる訳ないだろう」
「言うじゃねぇか。そんな細い体で俺様に勝てると思ってんのか?」
「ガキに足払いくらった奴の台詞だとは思えないな」
2人の間にピリピリとした空気が流れる。
どちらが何をしかけてもおかしくない状況だ。
その状況を破ったのは、男だった。
体格とは裏腹の自慢のスピードで寸鉄を持った拳をフレイルの顔めがけて振り下ろした。
ガッ!!
礼拝堂に音が響き渡った。
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