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□Crazy Love
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バレンタインが近付くにつれ、街の雰囲気はソワソワしはじめ、

所々にチョコレートの匂いが漂う。

特設売り場には女の人達の群れが成され

義理チョコを面倒くさそうに買う人もいれば

目を輝かせて本命チョコを選んでいる人もいる。


僕も、恋人であるユチョンへチョコを買った方がいいのか悩んだんだけど…

さすがに、あの人だかりの中、男一人でチョコを選びに行く勇気は無かった。

そもそも、男同士ならチョコなんて関係無いのかな?

それとも、立場的に受ける側の僕はやっぱりチョコを用意したほうがいいんだろうか?


バイトへ行く途中に近所のコンビニに寄ってみた。

陳列されたチョコを手にとっては悩み、棚に戻して

その繰り返しをしていると、いい加減店員に怪訝な目で見られた。

そして雑誌コーナーで立ち読みをしている女子高生が、面白そうに僕を見てひそひそ話している。

きっと、自分で自分に買うつもりなのかと勘違いされたんだろう。

そう思われても仕方ないんだけど…


どうにもいたたまれなくなって、僕はコンビニを後にした。

無意識にため息が漏れる。


(相談…してみよっかな)


バイト先には、僕とユチョンの関係を知る信頼できる友達が数人いた。

今日は偶然にもみんな一緒のシフトだし、ダメ元で色々聞いてみよう。

バイト先のコーヒーショップの裏口を潜り抜けると、さっそくそのうちの1人が制服に着替えていた。



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