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□miss you
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「は、ぁ…ッ…ぁッ…!」


絶頂が近いのだろう

息を荒げ、いよいよティッシュの箱に手を伸ばしたそのとき

俺はわざと音を立ててカーテンを開いた。


「っ!?!?」

「何やってんの…?センセ♪」


まさか人がいるとは思いもしなかったんだろう。

黒目がちな瞳を丸くさせたかと思うと

白衣の前を強く合わせ、ソコを必死に隠す。


(バレバレだっつーの…(笑))


「っ君…!!パク・ユチョンくん…!!どうして…!?」

「頭痛いから寝かせてもらってたの。鍵、開いてたよ?」

「ぁ……」


いくら白衣で隠したって、足元にはずり落ちたままのズボンに下着

そして先走りの蜜に濡れた手が、さっきまでの情事を物語っている。


「保健医とは言えまさか先生が、神聖な学校でこんなことするなんてね〜」

「ぁ……の……これは…っ」

「ユノ先生、とか…聞こえたけど…」

「っ!!」


ただの同僚なら、自慰のときに名前を呼んだりなんてしない。

こいつはほぼ確実に、あの体育教師が好きだ。

それぐらいアホでもわかる。


「先生ってゲイだったんだ?まさかユノ先生も?二人って、付き合ってんの?」

「ち、違っ…!!」

「じゃあなんであいつの名前呼びながらシコッてたわけ?」

「…そ…、れは…」


顔が、さっきとは違う種類の赤さに染まっていく。

さすがにその格好じゃ、言い訳のしようもないんだろう

俯いたまま黙り込んでしまった。


「……お願い…」


しばらく沈黙が続くと、キム・ジュンスが口を開いた。

その目には、うっすら涙が浮かんでいる。


「誰にも……ッ言わないで…」

「…付き合ってることを?」

「違う!付き合ってなんか…ない。ただ、…僕が勝手に…」

「好きなだけ、ってやつね」


切ないねぇ、泣かせるねぇ

ま、元々こんなこと誰にも言うつもりはなかったんだけど。

ゲイだろうがなんだろうが、他人の恋愛に興味はないし

第一、俺になんの得もない。

ただ、このときは少しだけ

暇で退屈で、変わりばえのない毎日に

飽き飽きしてたとこだったんだ。




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