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□MIROTIC -secret game-
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正直、驚いた。

ユノが連れてきたのは、極上の美人でもなければドブスでもない。


(……男…?)


呆気にとられすぎて、話もほとんど聞いてなかった。

なんとなく聞こえたのは、男同士な故、大っぴらな付き合いはできないが

一番の親友である俺には正直に話しておきたかった そうだ。

また出たよ。『一番の親友』。

本当に暑苦しい男…。


「…引いたか?ユチョン…」

「へぇ?」

「その…男と付き合ってること…」


危ね。適当に流すところだった。

無駄な敵は作らないほうがいい。

上辺だけでも、味方は大勢いたほうが何かと役に立つ。

第一、ここでユノを突き放してしまったら

友情を何より大切に思っているユノのことだ。

また面倒くさいことになるのが目に見えている。


「…まさか。そんなわけないだろ?お前が選んだのがたまたま男だっただけの話だし」

「…ユチョン…」

「俺らどれだけ付き合い長いと思ってんだよ。しないよ。引いたりなんか」

「ユチョン…よかった…!」


元々同性愛に偏見は持っていなかった。

と言うより、慣れていた。


ゲイのたまり場と呼ばれる場所でバーテンダーのアルバイトもしていたし

金額に惹かれて男を抱いたことも、抱かれたことも…ある。


あの時期以来男との経験は無い。二度とやるもんかと思った。

汚いオヤジにナヨナヨしたガキ、むさ苦しいマッチョ。

一部の女が好んで読むような、漫画のように綺麗な男なんていなかった。

あんな奴らを相手に抱いたり抱かれたりするくらいなら、

金額が低くても欲求不満のババアを相手にする方がマシだとさえ思った。


にしてもコイツは ジュンスとか言ったっけ。

今まで見たことのある同性愛者の中では抜きん出て整った顔立ちだ。

かと言ってびっくりするほど美形なわけでも無いが。

どこにでもいるような…中の上ってとこか。

何がよくてコイツを選んだんだか。


さり気無くジュンスの腰に腕を回すユノ。

はにかむような笑顔でユノを見つめるジュンス。

幸せぶりを見せ付けてくるようなふたりの姿に 苛つく。


そのときふと、全てを壊してやろうと思った。

なんの障害もなく生きてきたユノの

絶望に歪んだ顔を 見てみたくなったんだ。
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