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□MIROTIC
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「ユノ遅いね?ちょっと僕、電話かけてくるよ。近くまで来てるかも…」

「……」


そう言って携帯を手に立ち上がると、床がぐらりと揺れた。

思わず、掛けていたソファーの背に手をつく。


「大丈夫?ジュンス…」


いつの間にか傍に寄り添うように立っていたユチョンに腰を抱かれる。

思った以上に近い距離と、熱の篭った力強い腕に、少し戸惑う。


「ぁ…うん。大丈夫。ちょっと飲むペース、早すぎたのかな…」

「ユノなら来ないよ」

「……え?」


再度強く抱き寄せられ、肩幅の広いその体躯にすっぽりと収められる。

ユチョンは相変わらず薄く微笑みを湛えて僕を見つめていた。


「来ないって…どう言う…」


その時、手にしていた携帯が着信を告げた。

一日の終わりに必ずくる、ほぼ決まった時間にかかってくるユノからの電話――

ユチョンはそれに気付くと、素早く携帯をもぎ取り

冷たいフローリングの床へと投げ捨てた。


「っ何するんだよ!!」


携帯を追ってユチョンの腕を逃れようとすると、また体が大きくふらついた。

その反動を利用して、ソファーに乱暴に押し倒される。

いつもと違うユチョンの態度に、少しずつ芽生えた恐怖が脳内を占めていく。


「ユチョン……?!」

「ちょっと度数強すぎたかな…本当に酒弱いんだな?」

「ユチョン…除けてよ…!どういうつもりだよ!」


精一杯虚勢を張ったはずが、思いの外頼りなく発せられた声に更に心細くなる。

思うように動いてくれない体は、尋常じゃない空気を悟ってか

ユチョンの下で細かく震えていた。


「どういうって…わかるだろ?ガキじゃあるまいし」

「なん…っ!ふざけるなよ!!」

「ふざけてねーよ…。本当単純だな。
 少しも疑わないで、のこのこ部屋まで来るんだから…」


ユチョンはそう言うと、Tシャツの裾を捲り上げ

厭らしく肌を撫で回しながら首元を舌でなぞり始めた。


「ぃ…や…!!嫌だ!!止めろよユチョン!!」

「……」


ユチョンの荒くなっていく呼吸と、腿に当たるその昂ぶりが

冗談ではなく本気だと嫌でも感じさせられる。


「嫌…っ!お願いだから…!離して…!!」


酔いのまわった体では、まともな抵抗など何一つできず

行為はユチョンの手によって次々と進められていく。

部屋の隅では、ユノからの二度目の着信が鳴り響いていた。


(ユノ…!!助けて…!!!)


そんな必死の願いなど届くはずもなく

着信音が途切れてしまった瞬間に目尻から絶望の涙が伝った。

ユチョンはそれを面白そうに唇で拭うと
噛み付くように乱暴に口付け 身体の隅から隅までを荒々しく侵食していった―――



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