library

□Choosey Lover
2ページ/14ページ


と、がちゃがちゃと鍵を回す音が聞こえる。


(ユチョンが帰ってきた!)


今までネガティブに考えてたことなんか吹っ飛んで

ぱたぱたとユチョンを出迎えに行く。


「ユチョン!おかえり!」

「ジュンス…まだ起きてたの?ただいま」


今日もまた飲んできたんだろう

少し赤らんだ顔でふにゃっと微笑むと、僕の頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。

無性に抱きつきたくて、ユチョンの胸目掛けて飛び込―――

―――もうと思ったのに


「あ〜疲れた…飲みすぎたかな〜」


僕の横をするりと抜けて、シャツを脱ぎつつリビングへ向かっていってしまった。

…そうですか。今日はキスも無しですか。

キスも無ければハグも無しですか。

あーそうですか!!!!


「ジュンスー?もう寝るの?」


ペットボトルのミネラルウォーターを片手にしれっと問いかけてくるユチョンを無視して

寝室に逃げ込みベッドにダイブする。

ひょっとしたらユチョンが気にして僕のところに来てくれるんじゃないかな、なんて

そんな淡い期待もすぐに打ち砕かれた。

いやに静かだな、と顔を上げると微かに聞こえるシャワーの音。


(……もういい!!(泣))


本当は、こんな風に意地をはりたいわけじゃない。

ユチョンに抱きしめられたい。もっとくっつきたい。

他愛もない話を、あの微笑みで聞いて欲しい。


――ちょっと意思の疎通ができなかったくらいで…。僕ってほんとに子供だな。


ベッドから起き上がって、またリビングへと向かう。

床に脱ぎ捨てられたままのシャツを拾い上げると、

ふとテーブルの上のものに目が止まった。


(財布と鍵と携帯と煙草と…なんだ?これ。)


手にとると、どうやらチョコレートらしい。

ブラウンの箱にピンクゴールドの文字で“Love Potion”と表記されていた。


「ラブ…ポ……
 …なんて書いてあるんだろ」


ユチョンと違って、僕に英語力は備わっていない。

ただ、意味がわからないならまだしも読めもしないのは少し情けないな…。

自分が食べようと思って買ってきたのかな。


「…食べちゃえっ」


ちょっとした可愛い仕返しのつもりだった。

滅多に遅い時間に間食をすることはなかったけど

あまりにもかまってくれないユチョンへ

悪戯心に火がついたのだ。


キューブタイプになっているチョコレートを一口含む。

久しぶりに食べるその味は思った以上においしくて

つい摘む手は進み、気付けば半分以上が無くなってしまっていた。

食べ過ぎたかな…と一瞬過ぎるも

この程度の仕返しなら可愛いものだと、鼻息荒く再びベッドに潜り込んだ。

“Love Potion”の意味など 少しも考えもせずに…



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ