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□MIROTIC -secret game-
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『一番の親友』
そう言われる度に吐き気がした。
俺は親友だなんて思ったことは一度もない。
明るくて、バカ正直で、いやに情が深くて
日陰を知ることなく育ってきたんだろう
その真っ直ぐさが、いちいち鼻につくんだ。
上っ面だけで愛想良く振舞うのは得意中の得意。
例に違わずユノともそんな付き合いをしていたら、
いつの間にやら俺はユノの中で『一番の親友』にまで格上げされていたらしい。
迷惑な話だ。
飲みに連れていかれたり泊まりに来られたり
ただそれだけでも面倒くさいのに
今度は『恋人ができたからユチョンには紹介しておきたい』
ときたもんだ。
(勘弁してくれよ……)
半年もの間、なんとかのらりくらりかわしてきたものの
あまりにしつこく、しかも必死に頼んでくるもんだから
遂にOKしてしまった。
ここまでくると、断り続ける方がエネルギーを使う。
自慢したいほど美人なのか?
くだらない。
女くらい面倒くさい生き物はいないってのに。
あ、ユノも負けじと面倒くさいけど…
怠い。
適当に褒めちぎって、さっさと帰ってもらおう。
ユノがうちに来るまでの間、当たり障りのない、
それでいて早めに切り上げてもらえるような会話を
ぼやぁっとした頭で考えていた。