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□Crazy Love
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参考人その3:ユノ兄
バイトを終えて更衣室に戻ると、頼れる最後の砦、ユノ兄が既に着替えて一服していた。
「ユノ兄、お疲れ様!」
「おぅジュンス。お疲れ様」
この一見爽やかに見えるスタイル抜群のユノ兄は
ジェジュ兄の恋人であり、僕の信頼できる先輩だ。
少し天然ちゃんで、空気の読めないところが残念だけど…。
「あのね、ユノ兄に相談があって…」
「どうした?バイトのことか?」
ユノ兄は、いつも僕が悩んでいるとき一番に声をかけてきてくれる。
やめようか迷ったときも、失敗して落ち込んだときも。
ユチョンとジェジュ兄がいなかったら、ひょっとしたら好きになっちゃってたかもなぁ…なんて…
いやいやいや!今はそういうことではナクテ!!
「僕ね、今日のバレンタインにユチョンにチョコ用意してなくて…。やっぱり渡した方がいいのか迷ってて…」
「…バレンタイン?…そうか!そう言うことか!」
「へぇ?」
「いやぁジェジュンがさ、今日は甘いものたくさん食べさせてあげるね♪ベッドの中でも…なんて言うもんだからさ。今日はチゲの方がいいなって言ったらあいつ怒っちゃって…」
どうやらユノ兄は、今日がバレンタインだと言う事すら気付いていなかったらしい。
あんなに街中バレンタイン一色だったのに?
なんならこの店でもバレンタインフェアでチョコレートドリンクゴリ押しだったのに?
ジェジュ兄のあからさまな夜のお誘いすら気付かなかったの?
…さすがキング・オブ・KYだ。
1人で納得していたかと思えば、急にニヤニヤしだしたり。
きっとジュジェ兄との夜でも想像しているのだろう。
ま、ジェジュ兄のあの様子じゃあ簡単に食べさせてもらえるか謎だけど、ね。
「…もういいや。じゃあねユノ兄。お疲れ様。」
「あ、ジュンス」
「何?」
「要は気持ちの問題だろ?ユチョンが喜びそうなものをあげたり、何かしてやったりすればいいんじゃないか?」
意外な発言。
そして今までで一番僕を納得させる言葉だった。
ユチョンが喜んでくれるなら。
確かに、ユチョンの笑顔が見られたら僕も嬉しい。
「ありがとう!ユノ兄!」
僕は急いで店を飛び出した。
チョコじゃなくたっていい。
ユチョンが喜んでくれそうなものを探すために
僕は街へと繰り出したのだった。
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