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□前提条件
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「あー…どうしよっかなぁ〜」

那智君が大学卒業を目前に控えたある日のこと。那智君はパソコンに張り付いて何やら考え事をしているみたいだった。

「那智君、どうしたの?」
「ん〜、ちょっと調べものね〜」
「コーヒー飲む?」
「ありがとー…んー、やっぱり真奈美のコーヒーが一番美味いよね〜」
「そりゃ砂糖もミルクも那智君好みの量だしね」

那智君の好みに合わせて作れるように研究したんだから!なーんてね。

「うんうん、おれの調教が良かったおかげだね〜」
「全っ然違います!」
「え〜、おっかしいなぁ。ちゃんとしつけたはずなのに」
「しつけられた覚えなんかないわよ!犬じゃないんだから」
「そりゃあね〜、おれ犬嫌いだし」

おいでおいで、と那智君が手招きする。

「……」
「あれれ?来ないなぁ」

またもや手招きをする那智君。絶対に行くもんか。

「真奈美ってば〜」
「しつけたって言ったの撤回するまで行かないもん」
「ありゃりゃ、怒っちゃった」

しょーがないなー、なんて言うけど楽しそうなことこの上ない。

「…仕方ないなぁ…」
「わっ」
「はい、捕まえたー」


今度はぎゅうぎゅうに抱き締められた。

「冗談だよ、なっちんジョーク。真奈美が簡単にしつけられるような奴だったらこんなに好きになるわけないじゃん」
「うん…」
「本当にわかってんの?おれがどれだけ真奈美のこと好きかって」
「わ、わかってる」
「本当かな〜、心配だから真奈美の好きなところ具体的に挙げようかな〜。例えば夜のやらし…」
「わかってるからそれ以上言っちゃだめ!それより!調べものの続きは!?」
「あー、そういえばそんなこともしてたね」
「何調べてたの?」
「…気になる?」
「うん!」

さっきの那智君の話を逸らせるのなら何でも!

「おれさ、引っ越ししようと思うんだよね〜」

…え?


「引っ越し…?」
「うん。ほら、おれも来年から社会人なわけだし、慧は卒業後は寮に入るって言ってたし。だったらこの機に引っ越しするのも悪くないかな〜って」
「そっか…そうだよね」

喜ばなきゃいけないのに。那智君がやりたいこと、やっとできるのに。別れるわけでもないのに寂しいなんて…

「…っ!?」
「…やっぱりわかってなかった」

不意討ちで唇に柔らかい感触。目の前には那智君。

「おれが1人で引っ越すわけないだろアホ。真奈美も一緒に決まってるじゃん」
「那智、君」
「変な心配する暇があったら、おれにキスでもされてろ…」
「…っ」

甘くて、とけるんじゃないかというくらいの優しいキス。かと思えば、息つく間もないようなドキドキするキス。文字通り、本当に変な心配をする暇もなくなったのだった。






(「…っていうか、こんな簡単なこともわかってなかったって…やっぱり真奈美の好きなところとか具体的に挙げよーっと」)
(「い、いい!ちゃんとわかったから!」)
(「1つ目〜…」)
(「那智君!!」)









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やっとできた…
叶椅とわ様へ押し付けものです!一周年おめでとうございます!返品可です!

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