gift

□どっちにしようかな
1ページ/1ページ

「うーん…どれにしようかな」

水玉、縞模様、チェック等々…ラッピング材の前で、どれにしようどれが良いかと悩む真奈美。一向に決められる様子はない。

「真奈美、決まったか」
「まだ…ごめんね千聖君。先に寝ててもらって良いから」

まったく、明日は早起きしなくちゃと言っていたのは自分だろう。このままでは明日は完全に寝坊だな。

「別にいい。せっかくお前がいるのに一人で寝る意味がわからない」
「ありがとう、ごめんね…」

真剣にラッピング材とにらめっこをしている真奈美の隣に自分も座る。この体制の真奈美はいつもより更にちっこい。

「うーん…どっちにしようかな」

とうとう二択まで絞ったらしく、水玉と縞模様の袋を両手に持っていた。

「どっちも可愛いなぁ…決められないよ」
「それなら俺が明日までに決めておいてやる」
「千聖君?」
「だから寝るぞ。明日は早いんだろう」

そして俺は二種類のラッピング材を取り上げて、真奈美をベッドに放り込んだ。ここまでが昨日の話だ。



「よーし、あとはこのままあら熱をとるだけ…と」
「終わったのか?」
「うん。あとは冷ますだけだよ」
「そうか、ちょうど良かった。向こうに朝飯を用意した、食え」
「ありがとう、千聖君」
「気にするな」

笑顔で礼を言う真奈美の頬には粉がついている。

「真奈美」
「なに……っ!?」
「…何だその顔は」
「だって!千聖君が、い、いきなりほっぺた舐めるから…」
「顔に粉がついていたぞ」
「そ、そっか。ありがと……っ」
「……」

今度は接吻。唇を離すと口をパクパクさせた真奈美の表情が見える。かなり面白い。

「ちさ、千聖君…」
「早く食べろ、遅れるぞ」
「う…わ、わかった…」

真奈美の頭を一撫でしてテーブルの方へ移動させた。



「ふは…ごちそうさまでした。よし、これからラッピングしなきゃ!」
「これだ」

立ち上がった真奈美に縞模様の袋を渡す。昨日悩んでいたものの片割れだ。

「あ、縞模様だ。千聖君、選んでくれてありがとう」
「気にするな。ついでにこいつも持っていけ」
「水玉の袋…これ、千聖君が?」
「あぁ」
「良いの?」
「真奈美が良ければな」
「…ちなみに理由は?」
「真奈美が縞模様も水玉も贈りたがっていたからな」
「そっか…ありがとう千聖君。渡しておくね!」

ほっとしたような表情の真奈美…おそらく何か疑ったな。

「…真奈美」
「なに…っ!」

こちらを向いた顔に近付いて、そのまま片手で後頭部を押さえて深く口付ける。抗議のつもりなのか俺の服を掴むが、もう片方の腕で逃がさないように抱きしめる。

「…はぁ…っ……」
「……俺は」

唇を離すと、もたれかかりながら恨めしげな視線を向けるが俺には可愛いとしか思えない。

「お前以外と、こういったことがしたいと思わない」
「千聖君…?」
「だが、その贈り物には少しだけ下心がある」

驚きで真奈美の目が見開く。少し悲しそうな表情だ。

「お前が、昨日からそいつのことばかり考えていたから面白くなかった」
「そんな、だって相手は女の子だし」
「それでも面白くなかったんだ。だから、少しだけ嫉妬させたかった…悪かったな」
「…千聖君の阿呆…」
「悪かった」

だが、むくれる真奈美が愛しくて仕方がない。

「でも、ありがとう。友達にも千聖君からだってちゃんと渡すね」
「真奈美の将来の旦那からだと伝えてくれ」
「っ…ち、千聖君…!」
「言っておくが本気だからな」
「わかった…で、でも!」
「ん?…っ」

真奈美が思い切り背伸びをして、俺の口に自分の口を押し当てた。

「…わ、私だって本気で心配したんだからね!」
「…あぁ。ありがとう」





*********
泉水様、お誕生日おめでとうございます!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ