Vitaminもの

□それは未来のデート計画
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それは、千聖君が無事に高校を卒業した1年後、4月を目前に控えたとある日のこと。

「お前をデートに誘いに来た」

目が覚めて、良い匂いのするキッチンに駆け込んでから言われた一言。
この一言で今日の予定が
決まった。



「起きたらいきなり来ててびっくりしたよ。電話くらいくれたら良かったのに」
「あぁ、最初は電話しようと思っていたのだが」
「もしかして、私気付かなかったとか?」
「いや、かけてない。どうせお前の声を聞くなら直接顔が見たいと思っただけだ」

食べ終わった朝ごはんの片づけをしながら、さらりとそんなことを言われた。
あぁ…どうしてこんなことをさらっと言えちゃうんだろう千聖君。

「そ、そっか。ありがとう…」
「おいどうした、顔が赤いぞ」
「ち、千聖君のせいだよ!」
「俺のせい?まぁ良くわからんが、お前の色々な表情が見られるのは悪くないな」

例えば、寝起き顔とか寝巻き姿とか寝癖頭とかな。
なんて意地悪そうに笑った千聖君に、頭をくしゃりと撫でられた。

「む…千聖君、私のこと子ども扱いしてない?」
「子ども扱いなどしていない。撫で心地のよさそうな頭がそこにあったからな」
「本当かなぁ」
「あぁ、もちろん。それより今日の予定なんだがな」
「あ、そうだ。千聖君はどこか行きたいところってあるの?」
「海に…行きたいと思っている」
「海?あ、もしかして天十郎君のサーフィンを見に行くとか」
「そんなわけがあるか。天のサーフィンなぞとうに見飽きている」
「あはは、そっか。じゃあどうしたの?」
「少しな」
「…まだ泳げる時期じゃないからね?」
「当たり前だ、天と一緒にするな。それに泳ぐつもりもない」
「そうだよね、良かった。でもここからだと結構距離あるよね…電車とか探さないと」
「その辺は任せておけ、車を用意した」

ほら、と言って千聖君が車のカギを見せてきた。
…ん、カギ?

「もしかして千聖君、免許とったの?」
「ん?あぁ、大分前にな」

あぁ、そうか。千聖君は天十郎君の親友兼従者兼秘書兼(以下略)…なんだしね。急なお迎えにも対応できるようにしないといけないしね。

「地図ならある。と言うわけで頼んだぞ、真奈美」
「わかった、いいよ」
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