Vitaminもの

□remember,memorize,learn〜彼らの手段〜
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「おっ、ふんわりチーズと北森先生じゃんか」
「…ふんわりチーズじゃない、不破千聖だ」
「こんにちは、草薙先生」

ある休日の昼下がり。デートをしていた私達は草薙先生と偶然出会った。
草薙先生は相変わらず人の名前を覚えるのは苦手みたいだ。

「あ、悪い。木破と北森先生」
「…不破だと言っている…」
「あ…あはは…」

これが仙道先生だったらワザとやってると思うだろう。
だけど草薙先生だと本人に悪気がないのだから仕方がない。
だめだ、そろそろ名前の話から離れないと…!

「あー、そういえば草薙先生はここで何をしていらっしゃるんですか?」
「俺?俺は悠里の買い物待ち。もうすぐ来るから一緒に待つか?」
「え、悠里先生もいらっしゃるんですか!…千聖君、ちょっと待っても良いかな?」
「別に構わん。今日は特に用事もない」
「ありがとう、千聖君」
「お待たせ一君!…って、北森さんと不破君?」

こんな話をしていると、買い物袋を手に持った悠里先生が店から出てきた。
その手には草薙先生とお揃いの指輪がついている。旧姓は南、今は草薙悠里先生だ。
最初は草薙先生と呼ぼうと思ったが、どちらも草薙なので悠里先生の方は名前で呼ばせてもらっている。

「こんにちは悠里先生」
「こんにちは北森さん、偶然ね。二人はデート?」
「はい!悠里先生たちもデートですか?」
「えぇ。デート兼ショッピングよ」
「私達もです。良い食材を見つけたら今日の晩御飯にしようって、ね?」
「あぁ。食材は旬の時期が一番の食べごろだからな」
「ふふ、二人ともお料理が上手だものね。ね、一君。私達もそうする?」
「え?」
「買い物中に良い食材を見つけたら今日の晩御飯のおかずに〜って。あ、良かったら一緒に食べ」
「わーーー!ほ、ほら、俺たち買い物の途中だったろ!?悠里、まだ服買うとか言ってたじゃん!ほらそれ持つからさ、早く行こうぜ!」
「あっ、ちょっと、一君?」
「じゃあな!不波、北森先生!」
「あ、はいっ、失礼します!」
「おい、不波じゃない不破だ!器用な間違え方をするな、草薙!」

慌しく行ってしまった二人の姿を見送る。
草薙先生のあの慌てぶりは一体なんだったんだろう…。

「…どうしたんだろうね、草薙先生」
「知らん。それより、自分の嫁の名前は覚えても生徒の名前は覚えないのかあの男は…」
「あ、でもB6の先生方の名前も覚えていらっしゃるみたいだし…」
「まったく、いつになったら俺の名前を覚えるんだか」
「あはは、そうだね。…ん?だったら…」

…名前を覚えてもらった人に聞いてみればいいじゃない!
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