Vitaminもの

□そんな悪夢も悪くない
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「…っ!」

悪夢を見て目が覚めた。
時計を見れば、まだ夜中の二時だ。

「ん……っ……ぅう」
「!」

乱れた息を整えていると、声が聞こえた。

「(起こしちゃったかな…?)」

隣では、同僚であり恋人でもある真田が眠っている。
ただし、眉間にシワを寄せ、なにやら苦しそうな表情をしているが。

「(寝言かな…怖い夢でもみてるのかも)」

そう思い、起こした方が良いかと腕を伸ばした瞬間だった。

「うわあっ!」
「きゃっ」

同時に目が覚めた真田と、ばっちり目が合ってしまった。

「あ…悠里ちゃんか…良かったぁ」
「すみません、驚かせてしまって…」
「ううん、こっちこそ驚かせてごめん!…起こしちゃったよね…」
「いえ!私も怖い夢を見て目が覚めちゃってたので…」
「悠里ちゃんも?」
「はい。知らない怖い人に追いかけ回されて…」
「あ、俺も!」

どうやら同じ夢を見ていたらしい。追いかけてきた人物の特徴も似ていた。

「俺だけならまだしも悠里ちゃんまで追いかけるとはなぁ…」
「…それだったら真田先生と一緒に逃げたかったです」
「うん、俺も。そしたら絶対に悠里ちゃんのこと守ってあげるから」

次は二人で良い夢を見ようね。
そう言ってキスをして、ぎゅっと抱き合ってお互い眠りに落ちる。



(君と一緒に逃げるなら、そんな悪夢も悪くない…よね?)

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