Vitaminもの

□そしてこれが国語の課題になる
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「……ん……うぅ……ん〜…」
「(あーあ、頑張っちゃって)」

現在、12月19日午後11時55分。
子猫チャンと俺は二人でベッドに腰掛けて映画を見ていた。
もっとも、見ていたのは結構前の話で、今は終わってしまっているのだけれど。

「ほーら、無理しない。そろそろ寝ようか?」
「んー…や、です…もーちょっと…」
「今日は色々出掛けたから疲れたろ?」
「…ん〜…」

いやいや、と首を振るその動作は寝ぼけ半分。
下がる瞼を頑張って開けようとするその仕草がたまらなく愛おしい。

「もうちょっとだけ、したら寝ます…あとちょっと」

コシコシと目をこするが、やっぱり眠気はなくなってくれないようだ。

「…あとちょっと…で、20日…」

ラストスパートでもかけ始めたのだろうか。
時計の秒針を必死で見つめている。が、それは余計に彼女の眠気を増長させたようだ。
少し引き寄せれば、どんどん高度が下がっていく頭は簡単にこっちに寄りかかる。
そして時計の針は0時をさした。

「ぎんじさん…」
「ん?」
「おたんじょうび、おめでとうございます…」

にっこりと。幸せそうな笑顔でそう言った君は、緊張の糸が切れたのか、そのまますうすうと寝息を立て始めた。
そんな彼女を起こさないように部屋の電気とテレビを消し、一緒にベッドに潜り込む。
閉じられたその瞼に軽くキスを落とし、そこにある幸せが実感できる。

「(あーあ。まだ冬休みじゃないのが悲しいわ)」

朝になればまた学校でお互い仕事だ。
そうすると、また夜になるまでこんな時間はお預けになってしまう。

「(…明けぬれば…あー、何だったかな…)」

明日になれば思い出せるだろうか。思い出せなければ調べよう。
今まさに、俺がそうであるように、古人が思いを綴った和歌のことを。







明けぬれば くるるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな(また夜になれば会えることくらいわかってる。それでも君と離れないといけない朝が来るのが嫌なんだよ)



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銀ちゃんハピバ!ちなみに百人一首のうちの一つです。意味は大体こんなん?ってくらいですので、あまり突っ込まないでください…

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