Vitaminもの
□Sleeping Flight Haney
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(あぁ、神様仏様二階堂大先輩様々…この幸せで辛い時間をなんとかしてください…っ!)
天気よし。手荷物検査よし。搭乗手続よし。パスポートにチケットに財布よし。
そして…
「悠里ちゃんよし!」
「正輝君もよし!」
お互い見つめあって、何となく笑う。あぁやっぱり幸せだな…
「楽しみだね、海外!」
「そうですよね!ずっと前からあれ買おう、ここ行こうとか悩んじゃって」
「あ、わかるそれ」
「ふふっ」
今日から一週間、俺と悠里ちゃんは海外旅行。
ハネムーン…にはちょっと早いけど!いやその前に結婚しなきゃとか婚約しなきゃとか…じゃなくて。
忙しくてなかなかこんなまとまった休みはとれないし、行くなら今がチャンス!
と言うことで、お互いパスポートだけはもってたからこんなことができたんだけど…あ、でもハネムーンだって行きたい!とは思ってるよ!
なんて日本を発ったのが、今から3時間くらい前の話。
(やっぱ…寝ちゃってる、よね)
俺の肩に頭をのせてすうすうと眠っている悠里ちゃん。たまにすり寄ってきてくれるのがたまらなく可愛い、けど。
(う…トイレ行きたい…けど、悠里ちゃん起こすのは可哀想だし…)
「ん…ぅ」
「!」
「……すー」
(び、びっくりした…)
悠里ちゃんは通路側の席だから、起こさないと俺は通路に出られない。
でも起こすのは可哀想…。
いつもの天使みたいな寝顔が今は小悪魔に見えて…いや、そんなことはない!
向こうにつくまで、あと10時間弱。熟睡する悠里ちゃんが起きるのを見守る、嬉しくて辛い時間はまだまだ長くなりそうだ……。
おまけ
「ん……あ、すいません私寝ちゃって…って、正輝君!?」
「…あ、ゆ…悠里ちゃんおはよう…。ちょっと、席…どいてもらってもいい?」
「どうしたんですか!?すごい脂汗…それに顔色も…」
「大丈夫、ちょっとトイレ行きたいだけ…」
「あ、はい!すみませんすぐどきます!」
「ごめん…!」
結局、真田がトイレに行けたのはあれから2時間後のことだったとさ。
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エコノミークラスはきっとこんなもんじゃないかと。
悠里先生が見た真田先生はすごい顔色をしてたに違いない。