短文
□聖母さま?
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今回はパターンが2つあります。
一つ目は、赤ちゃんに慣れている一護から。
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「こんにちはー」
昼下がり、黒崎医院に女の人の声が響いた。
一護はその声の主を知っているのか、勉強を止めて下へ、医院へと向かった。
そんな一護を見、ルキアも好奇心でついていった。
「ちはー」
すでに一護は玄関にいて、患者の女の人に挨拶をしていた。
女の人は優しそうな雰囲気に包まれていて、腕の中には赤ちゃんがいた。
母親だからなのか、こんなにも優しそうな雰囲気なのだろう。
「こんにちは、一護くん。先生はみえる?」
「はい。もう診療できますよ」
「そう。
──いつも悪いけど…この子…」
「はい。預かります」
女の人は一護を信頼しているらしく、何の躊躇も無く赤ちゃんを渡した。
女の人はいい子にね、と赤ちゃんに言い、診療所に入っていった。
「一護」
「ん?ああ、ルキア」
ルキアは振り返った一護の腕の中、赤ちゃんを見る。
ルキアの視線に気がついたのか、一護は笑む。
「あの人の診療中は、オレがこの子の面倒を見るんだ」
「そうなのか」
「ああ」
一護は慣れているのか、腕の中の赤ちゃんは安らかに眠っていた。
「可愛いよなぁ……」
一護は、赤ちゃんを見つめる。
一護の面持ちはまるで母親のように優しく、ルキアは見とれてしまった。
「ルキア?」
「あ、ああ…///」
「?」
ふと、赤ちゃんが目を覚ました。
一護は起きたか、と赤ちゃんの顔を覗き込んだ。
すると赤ちゃんは一護の顔を見るなり、嬉しそうにきゃっきゃっと笑った。
一護もそんな赤ちゃんの様子が嬉しいのか、笑む。
「好かれているのだな」
「まぁな」
嬉しそうに笑む一護に、ルキアは目を細めた。
一護はそのまま赤ちゃんを自室に連れていき、ルキアも後に続く。
一護の自室に入り、一護は床に座って赤ちゃんを膝に乗せた。
赤ちゃんは、変わらず嬉しそうで、両手を上下に振っている。
言葉の話せない赤ちゃんは、身体を使って喜びをあらわしている。
そんな赤ちゃんが可愛くてしかたないのか、一護は微笑む。
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