短文
□どうか晴れて
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最近、町に虚が現れることが多くなった。
雨竜は勿論、虚が現れれば滅却しにいく。
しかし、
朝昼晩問わず駆け出し、退治しに行く一護ほどではない。
授業中はおろか、一護は真夜中だろうと駆け出している。
死神代行
一護がその役目を、果たさなくてはならないのは、もう分かりきっている。
だが……
──今日の黒崎は、やけに元気が無い。
そう、僕は思っていた。
相変わらず眉間に皺をよせているが、可愛い。
でも、
元気が無い…。
顔色だって、はっきりいって優れない。
「…………」
三現目、体育。
授業が終わり、僕と黒崎は後片付けをしていた。
密室に二人きり。
いつもならこんな機会が無いし、嬉しい。
だが、
そんな気は今日はしなかった。
暑い中での野球。
黒崎は大丈夫だろうか。
「……………」
黒崎は何も言わないまま、野球の道具を片付けている。
だけど、目が虚ろで、くまが見える。
「…黒崎」
思いきって話かける。
「…ん…?」
「元気が無いみたいだけど、大丈夫か?」
「……普通…」
「普通って…」
全然そうには見えない。
「最近、虚退治は忙しいのか?」
ちゃんと休めているか、悩みがあるのか、いろいろ聞きたいが、まずその一言で済ませる。
「まぁ…な…」
「……黒崎…」
「………………」
黒崎は、それっきり黙ってしまった。
なんだか、喋ることも辛そうだ。
「黒崎…本当に大丈夫か?顔色が…」
と、外から雨音が聞こえだした。
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