銀さんと一緒に(ほのぼの)
□誕生日、おめでとう
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はじめてお前の事を知ったのは、物騒な噂でした。
【鬼子がいる】
【人を食らう白い鬼子】
【人を食って瞳が紅くなった鬼子】
天人が蔓延り、世界は暗く希望がなく…そんな時代。
私は、噂にあった【白い】と言う言葉に魅かれました。
だって、見あげる空には軍艦が飛び交い、光が遮られ足元は暗かったのだから。
そんな中で、暗闇の時代の中で聞いた色は、私にとって【そこには希望がある】と、誰から言っている様でした。
そして、貴方をみつけた。
混沌とした戦場の中、骸に死に水をあげる【白い鬼子】
死にぬく者の髪を優しく撫でる小さな手をした【人を食らう鬼子】
風にのり、屍になる前に「ありがとよ…懐にあるモン喰え…」と優しい声をして逝く者に、手を合わせる【人を食らって瞳が紅くなった鬼子】
なんと愚かな事よ、こんなに愛らしい子がいるだろうか。
銀時、私に出逢ってくれてありがとう。
銀時、笑顔を見せてくれてありがとう。
銀時、私の宝物です、ありがとう。
はじめて出会ってから何度目になるのでしょう?
今、お前は幸せですか?
私がお前から貰った幸せの数はたくさんですが、私はお前に返せていますか?
お前は言いました。
『村に近づくと石を投げられるけど、戦場では水あげたらありがとって言われた』
『村に近づくと殴られるけど、戦場では髪を撫でると笑ってた』
『村に近づくと食べれるモノなんてなかったけど、戦場では握り飯くれた』
人は自分と違う者を恐れ、嫌うのでしょう。
けれど、お前はその『嫌う』と言う感情の的にされ続けてもなお、白く光り輝いていた。
そして、これから先も輝き続けるのでしょう。
銀時、愛してますよ、貴方は私の宝物です。
己の信じるままに歩みなさい、その道は険しくもあり緩やかでもあるでしょう。
お前の前には幾多の困難もあるでしょうが、光もきっとあるのですから。
だから、お前の思うがままに進んで行ってください。
お前と言う光に出逢った者は、皆、お前に魅かれ焦がれるでしょう。
仲違いしても、なお焦がれるでしょうね。
銀時、生まれてきてくれてありがとう。
そして…これからもお前にとって幸せが続きますように。
私が、私たちがお前から貰っている幸せが、お前にも届きます様に。
ほんの少しでも…届けられます様に。
「先生」
「なんですか?」
「俺を見つけて拾ってれてありがとな」
ふふ、私に拾われてくれてありがとう…ですよ、銀時。
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