short story.
□触りたい。
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暖かく眩しい太陽の下、僕は学園の中庭にあるベンチで寝ていました。ベンチの後ろには噴水があって、その向こうにはまたベンチがあります。噴水の向こうにある、そのベンチに誰かがギシッと鈍い音をたてて座りました。
僕はゆっくり目を開けて、ゆっくりと体を起こして向こうにあるベンチを見ました。だけど、そこには誰もいません。気になった僕は、ベンチから立ち上がり向こう側に行くことにしました。
向こう側に行くのに、時間がかからず、すぐにたどり着きました。ベンチにいたのは同じクラスの人気者でした。さっき僕がいたベンチから見えなかったのは彼が座ったのではなく、体を横にしていたからだ。
僕はいつも彼をクラスの隅っこで見ていた。容姿は目鼻立ちが整っていて、少しほりが深くハーフのようで、髪は明るい茶色に染められていた。染められているのにも関わらずとても柔らかそうな髪の毛で触らずにはいられない。触るか触らないか少し悩んだ。結局は触ることにした。
そっと、彼を起こさないようにゆっくり手を近づけてみる。起きる気配がないことを確認して、またゆっくり髪の毛に近づく。そして手が髪に触れようとしたとき、急に出てきた手が僕の腕を掴んだ。