コンビネーション!
□リスタート
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「円堂監督、最近梓さん来ませんね…」
二週間くらい顔を出していないような気もする。
いつもなら三日に一度くらいきて、ディフェンスの指導などをしているのに。
「梓のやつまた入院したんだ。
痛みがぶり返したらしく殆ど歩けないらしいんだ。」
最近ずっと天気が悪い。
それのせいなのか、否か。
「霧野、今度神童と二人でお見舞いにいってやれよ!
梓には俺からいっておくからさ!」
「は…はあ…」
*
次の日曜日の午後。
霧野は梓が好きだと円堂から教えてもらったチョコのケーキを、神童は見舞いの花束を持ってきた。
【コンコン】
「あ、はーい、どうぞ!」
中から返事が聞こえた。
神童、霧野は梓の病室に入った。
「いらっしゃい、来てくれてありがと!」
机の上に並べられたらたくさんの本をまとめながら笑顔でいった。
「これお見舞いの花とケーキです。」
「わーありがと!
ごめんね、ちょっと調子悪くてさ、病院に蜻蛉返りだよ…」
花とケーキを一旦机の上に置いた。
「よくお見舞いには切り花がいいっていわれてるんですが…」
“意外とかわいいものが好き”と春奈がいっていたので、かわいくラッピングされた鉢植えの花にした。
「うん、僕は病気で入院してるわけじゃないから気にしないし、こっちの方が長持ちする。
しかもかわいいし!」
ほっとした表情を浮かべた神童。
この花を選んだのは神童だから。
「あの、梓さん、質問してもいいですか?」
「ん、いいよ?」
一生懸命手を伸ばし、本をしまい始めた。
その本のタイトルは「サッカー監督の手引き」
本というよりはテキスト…教科書みたいだ。
「梓さんは選手辞めちゃうんですか…?」
同じディフェンスの選手として憧れだった。
女子サッカーを嫌いではなく、梓や小鳥遊忍のファンである。
「まだ辞めないよ。
まだMVPになったことないし、未完成の技だってまだある。
その二つを達成しなきゃ、辞められないよ!」
痛む膝をさすった。
こんな所で立ち止まってられない。
やるべきことを知っている、戦う女性の、力強い眼差しだった。
「オレも…サッカー辞めません。
絶対自由なサッカーができるようにフィフスセクターを倒してみせます。」
ここから リスタート
(うん、いい目。
取り敢えず蘭丸君が買ってきてくれたケーキ食べよっか!
えっと…お皿は…)
(あ、オレやりますよ!)
(ありがと、拓人君!
あ、ここのチョコケーキ大好きなんだよね…!)