コンビネーション!
□庇ってくれた、うれしかった
1ページ/1ページ
ある日の部活中。
オレは教室に忘れ物をしたのに気づき、部活を抜け出し取りに行った。
明日提出の宿題だから、忘れるわけにいかないんだ。
そしたら和深も筆箱を教室に忘れたらしく、ついでに取ってきてと。
パシりかよ…
でもまあ同じ階だし、ついでだし。
オレの教室の方が奥だから、先にオレの方に行ってからにしよう。
和深の教室は2−2で、階段から結構近い。
オレの教室は2−8、ぶっちゃけ階段からすごく遠い。
下駄箱の近くに二つ階段があって、後半クラスに行くのに近い階段もあるけど、部室からだと遠い方の階段になってしまった。
『……!……っ!!』
『……?……!』
和深のクラスがうるさい。
なんだろうと思って先に行くことにした。
「げ…葛城…!?」
「タイミング悪すぎ…」
和深のクラスの女子。
「な…なにを?」
机の上に広げられたらノートに大きく「シネ」と書かれていた。
なんだか悪い予感がする。
「なんでもいいでしょ。」
「それよりさ〜あんた、最近調子のり過ぎじゃない?
この前初出場決めて、男にちやほやされて何様のつもり?」
もしかして、和深と間違われてる…?
「あんまり目立つとホントに潰すよ?」
「二度とサッカー出来ないようにしてあげよっか〜?」
ゲラゲラと笑う。
下品すぎる。
「なんかいったらどうなのよっ!!」
女子の平手がくる。
オレは呆気にとられ、動けなかった。
「あんたらさ、マジ格好悪すぎ。」
平手はこずに、聞き慣れた女子の声が聞こえた。
「げ…瀬戸水鳥じゃん!!」
「に…逃げようっ!!」
そういうと逃げていく二人。
「大丈夫か、和音。」
「あ…ああ…」
ポロポロと涙が流れてきた。
なんでかな、とまらないんだ。
「悪いな、和深から口止めされてたんだ。
あいつ、一部の女子から虐められてるんだよ。
二年になってからはあんまりなかったんだけどな。」
しらなかった。
ずっと、誰よりも和深の側にいたはずなのに。
しらなかった、しれなかった…
「まああたしが結構追っ払ってんだよ。
茜も、怒ると怖いんだぜ。」
「ごめん…瀬戸さん…
そういうのはオレがやらなきゃならないのに…
和深はオレが守らなきゃなのに…」
オレは男だから、和深のこと、守らなきゃなのに…
「水鳥でいいよ。
あたしは好きでやってんだ。
それに今日のことは和深に内緒な。
このノートはあたしが処理しとくから。」
心無い文字がかかれたノートをかたしはじめた。
オレたちを庇ってくれた、うれしかった
(ありがとう…水鳥…)
(いいよ。
お前らが笑っててくれればそれだけで。)
(なんだそれ…でも、和深の悲しむ姿はもうみたくない。)