コンビネーション!
□テネラメンテ
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「あー…」
空を見上げ一声。
今日は何か大切な日のような気もするが、なんだかわからない。
もどかしい気持ちでいっぱいだ。
「どうしたんだよ、今日はなんか変だぞ?」
丸めた紙で頭を叩かれた。
前を向くと、犯人は円堂。
練習前のミーティングからずっと様子がおかしい。
「いや、なにか大切な日のような気がするんですが…思い出せないんです。」
朝からずっと心に引っかかる。
「誕生日とか?」
「オレたち、自分の誕生日がわからないんです。
兄の命日と同じ日らしいんですが、余りに幼すぎて。
きっとショックか何かで記憶がないんです、二人とも。」
兄は部活だった。
早く帰るといっていたはずなのに、一生帰らぬ人となった。
毎年両親、祖父母とパーティーを開いているのだが、どうしてもその日を忘れてしまう、覚えることができない。
「そういえば俺の後輩、今日が命日のやつがいたな。
名前は確か…」
円堂がまだ中三だった頃、ひとりの後輩が事故で亡くなった。
部室に置き忘れた二つのプレゼント。
今は梓が預かっているはず。
同じゴールキーパーで、金色の髪をした…。
「葛城和泉…?
葛城ってもしかして…?」
パズルのピースが埋まるかのように、記憶が繋がる。
亡くなった後輩、葛城和泉はもしかして…
「兄の名前です…
どうして監督が…?」
兄の記憶は殆どないけれど、雷門中学に通っていたというのは記憶の片隅にある。
「後輩だったんだ…
いっつも弟と妹の話をしててな、すげーいいやつで…なんであいつが死ななきゃならなかったんだって、梓はわんわん泣いた。
まさか、お前たちが…」
忘れかけていた。
今日この日じゃなかったら思い出せなかっただろう。
「お前たちに渡したいものがあるんだ。」
そういうとケータイを取り出し、誰かにメールをし始めた。
「和深、呼んでこい。」
肩を押された。
「は…はい…」
訳も分からず、三国とシュート練をしている和深を呼びにいった。
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