コンビネーション!

□ダ・カーポ
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今からだいたい十年前、小さな双子の姉弟と、優しいお兄さんがいました。

兄の名は葛城和泉、双子の姉は和深、一番末っ子は和音といいます。

この三人はとても仲が良く、みんなサッカーが大好きでした。

「オレ、中学は雷門中に決めた!」

小学六年生の和泉は、フットボールフロンティアの地区大会、全国大会のテレビ中継を全て録画し、何度も何度もみていました。

廃部寸前とまでいわれていた雷門中学サッカー部。

零からのスタートで全国優勝、さらには世界大会の代表にもかなりの人数が選抜されていました。

その選抜に選ばれた唯一の小学六年生、宇都宮虎丸。

和泉の友達でした。

「兄ちゃんならぜったいれぎゅらーになれるよ!」

「そうだよ、らいもんのごーるは兄ちゃんが守るんだよ!」

まだ保育園に通っている双子にはよくわかっていないかもしれないけれど、大好きな兄が、大好きなサッカーをやりたいと思っていることはわかったみたいです。

和泉は稲妻町の少年サッカーチームでゴールキーパーをやっています。

憧れの円堂守にはまだまだ遠いけれど、彼のようになりたいと思っていました。

そして和泉は雷門中に入学し、雷門中学サッカー部で円堂守の控えゴールキーパーになりました。

しかし、そんな青春の日々は長くは続きませんでした。

飲酒運転。

それが和泉の人生を大きく曲げてしまいました。

部活の帰り道、中学から自宅が少し遠い和泉は自転車で通学をしていました。

「今日は部活が六時までだけど、早めに帰ってくるよ。
だって今日は二人の誕生日だもんな!」

これが、最後の言葉でした。

飲酒運転の車に跳ねられ、十二年と少しの人生が終わってしまいました。

「ねえ、兄ちゃんは?」

「兄ちゃんはどうして帰ってこないの?」

嗚呼、なんて悲しい話なのでしょうか。

幼い双子が兄の死を理解するまで、かなりの時間がかかったでしょう。


ダ・カーポ あの頃に戻れたら


(兄さんは今もサッカーを続けているよ。)

(俺たちの心の中で。)

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