コンビネーション!

□目を離せない
1ページ/1ページ



万能坂中との試合から二日。

今日も雷門サッカー部は第二グラウンド…外グラウンドで練習を続けている。

霧野はスライディングをもろにくらい、まだ多少痛むのか練習はしていない。

医者からもニ、三日は安静といわれたらしい。

「和音くん、ちょっといいかな?」

丁度水分補給の為にベンチに立ち寄った和音を呼び止めたのは山菜茜。

「ん、なに、山菜さん。」

手招きをされたので、ボトルを置いて茜の前に来た。

「あのね、この前の試合の時の写真、和音くんにあげる。」

鞄からピンク色の封筒を取り出し、差し出した。

「みてもいい?」

「うん。」

返事を聞くと、クローバーのシールを丁寧にはがし、写真を出した。

「うわ、恥ずかし…」

相手の選手からボールを奪った瞬間。

「山菜さんって写真上手なんだね。
今度色々見せてもらってもいい?」

「…いいよ!」

少し考えた後、笑顔を浮かべていった。

辺りにお花が浮かぶ、優しい微笑み。

和音も負けないくらい優しい微笑みだった。

「お前は女子か!!」

水鳥による間髪入れない突っ込み。

「和音くんって、ほんとに女の子みたいだよね。」

「うぅん、オレも一応男なんだけどな…軽く傷ついたよ…」

母親も綺麗な人、祖母も、父親も男にしては美しすぎる人だったし、姉の和深も。

「そういえば和深は…?」

先程から姿が見えない。

三国とシュート練習をしていたはずなのに。

「水道の方に行くっていってたぜ。
今三国さんが様子見に行った、全然帰ってこないし。」

少し離れたベンチに座っていた霧野。

ゴシゴシとボールを磨いていた。

「そっか、三国さんが一緒なら大丈夫だね。」

「誰か!!
監督か音無先生を呼んでくれ!!
和深が!!」

いった側から、三国が和深を抱えていた。

「先輩、大丈夫ですから…
ちょっとふらついただけですから…」

水道の手前でうずくまっていたところ、様子を見に行った三国により保護された。

「大丈夫じゃないだろ…
保健室、行くぞ。」

「ベンチで大丈夫です…から…」

こめかみを押さえ、眉間に皺を寄せている。

「音無先生、和深を保健室に連れて行きます。」

「ええわかったわ。
また頭痛ね、大丈夫?」

「大丈夫です、三国さんが大袈裟なだけです…」

相当恥ずかしいのか、顔がほんのり赤い。

「大袈裟じゃない。
今日はオレが送るから、保健室で待ってろよ。」

「…はい。」


目を離せない、離したら大変


(今日はやけに素直だな)

(気のせいですよ)

(……そうか)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ