コンビネーション!

□優しい唇が弧をえがく
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「浜野ー部活行こうぜー」

「なにさ今日は早くない?
いつもはゆっくり行くくせにさー」

円堂が監督になってから、ゆっくり部活に行くようになった。

円堂監督に対する反乱の意を込めてなのだろうか。

「なんか嫌な予感がするんだよ。」

ざわざわ、胸騒ぎがする。

悪いことではなさそうだが、なんでもないということを早く確認したい。

「なに、和深関係?
普通年頃の男女の姉弟って仲悪いんじゃねーの?」

「仲良くちゃわりーのかよ…
仕方ないだろ、双子なんだし…ほっとけねぇんだよ、和深のこと。」

奇妙なテレパシーで繋がっている、不思議な関係。

切っても切れない縁、鏡をみているような容姿。

どうしても世話を焼きたくなる、焼いてしまう。

「いいねぇ姉弟ってさ。
今度また和深と釣りにいってさ、惚気話でも聞こうかな、和音の。」

「なっ!!
やめろよな、そういうの!!」



「おはよーございまーす」

「おー、来たか!
今日は早いな、お前ら!」

今日の練習の確認を神童としていた円堂が声をかけた。

「あ、その…まあ。」

浜野はこめかみを少し掻いてみた。

それとは裏腹に辺りをキョロキョロしている和音。

――和深がいない。

いつもは着替えのためか一番乗りなのだが…。

「和深なら談話室の方にいたど。」

和深が談話室で誰かと話しているところを目撃したようだ。

「あ、ありがとうございます、天城さん!」

そういうと談話室の方に走り出した。



「和深!」

談話室の扉を勢いよく開ける。

中にいたのは和深と、見知らぬ桜色の髪の女性。

いや、どこかでみたことあるような…。

「和音?
どうしたの、そんなに慌てて…」

少々驚きつつも質問した。

「いや、なんか胸騒ぎがしてさ、なんも変わりない?大丈夫?」

「変わり…あ、これ落としちゃったくらいかな?
でも梓さんが拾ってくれたから!」

先ほどまで旅にでていたクマのぬいぐるみ。

今は談話室の机にいる。

「すごい、ホントにそっくりだね!
僕と兄さんとは大違いだね!」

目元は似てるとよく言われるが、それ以外は余り似ていない梓にとってはうらやましい限り。

「…梓さん?」

「はい、僕が風丸梓です、よろしくね、和音君!」

ふわりと花を浮かべたように微笑んだ。


優しい唇が弧をえがく、サファイアの慈愛


(…和音君?)

(ちょっと和音、顔赤くなってる!!)

(……。)

(そろそろ練習を始めたいのだが…)



一番下は神童くん。

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