コンビネーション!
□姉の苦労
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side:和深
「和深先輩、和深先輩って英語が得意なんですよね?」
「松風、いきなりどうしたの?」
例の部勉会。
一人もりもり英語のワークを進めていた和深。
範囲はもう中三レベル。
一年生の松風にはさっぱりわからないだろう。
「いや…英語教えてもらえたらなぁ…って…」
「いいよ。
どこわからない?」
自分のワークを閉じ、机の隅に置いた。
『絶対合格! 高校入試英語問題集』と書かれていた…。
「ありがとうございます!
この例文がよくわからなくて…」
教科書と同時に配られた、教科書対応のワーク。
あ、スペルミス。
「ああここね、うん。
和音もここ苦手だったなぁ…
ここはまずこの動詞に注目して……」
和音も苦手だった例文。
一年前にも同じ説明をしたので、バッチリ。
「ああ!
わかりました、ありがとうございます!」
「和音は次も躓いてたけど、松風は大丈夫?」
慌てて確認する。
「あ…わかりません…」
素直に答える。
わからないままにしておくのは、後々のことを考えるとよくない。
「和音先輩も英語苦手なんですね、知らなかったです…」
「お弁当と交換条件でね、よく教えてるの。
あたしは料理できないし、和音は英語ができない。
両親は忙しくてお弁当にまで手が回らないから。」
両親も忙しい身。
祖母がお弁当を作ってくれるときもあるが、殆どは和音が作ってくれる。
「和深先輩の家も両親が忙しいんですね、俺と一緒だ。」
「松風の両親はたしか沖縄だよね。
沖縄は行ったことないな…
ねぇ、どんなとこ?
今度和音とばぁちゃんと一緒に行きたいなって!」
姉の苦労も弟のためなら
(海が綺麗ですよ!
和音先輩は泳げますか?)
(多少は…)
(もう夏ですからね!)
なんだかんだで結局ブラコンなんです。