コンビネーション!

□じんわり、とける
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side:和音

今日は部活を休んだ。

速水も倉間も浜野も、行かないっていってた。

きっと霧野も行ってないし、神童はそもそも学校を休んだらしい。

和深も機嫌悪そうだし、行かなくてよかったのかもしれない。

部活に行ったのなんて、松風と西園とマネージャーたちだけなんだろうね。

「あれ、神童、霧野…」

自転車は押し、和深と二人で歩いていると、神童と霧野が前を歩いていた。

霧野は学ランで、神童は私服だった。

やっぱり学校休んだんだ。

「なんだ葛城か。
こんな所でなにやってんだよ、部活は?」

“葛城”で纏められるのはあんまり好きじゃないけど、幼なじみだし。

「その言葉、そっくりそのまま返すよ。」

お互い部活をサボったのは間違いないけど。

「偵察だよ、偵察。
河川敷で練習っていってだろ?
橋の上からみえるかなって。」

二人はこれから河川敷に向かうらしい。

「和深、オレらも行かない?」

「和音が行きたいっていうなら…」

まだ少し機嫌が悪いらしい。

でも、本当に円堂監督がフィフスセクターの手先なのかどうか確かめなきゃいけないから。



河川敷。

サッカー場がよくみえる橋の上。

松風と西園、円堂監督がいて、あと隠れるようにサッカー部員が。

…南沢さんだけいない。

「おーやってるやってる!」

女の人の声。

和深とは全然違う、大人な感じ。

驚いて顔を上げた。

帽子で顔が隠れていてよくはわからないけど、春奈先生と同じくらいの歳にみえる。

「あの…どちら様ですか?」

神童が女性に訪ねた。

「あ、僕はあそこにいる円堂守の幼なじみ。
通りすがりのサッカーマニアだよ。」

自分のことを僕っていう、不思議な人。

「君たち、雷門中だよね。
サッカーに興味あるの?」

「いえ、サッカー部です。」

今日はサボリの。

「サッカー部なんだ!
懐かしいね、僕のいた頃とユニフォームも変わっちゃって…
制服も変わって、校舎もみんな…
なんか雷門中じゃないみたいだね。」

過去の雷門中生みたいな口振り。

「でも円堂君が新しい風を起こす。
楽しみだなぁ…あ、フットボールフロンティア…今はホーリーロードだっけ?
ちゃんと観にいくから、頑張ってよね。」

この人は知らないんだ…

ホーリーロードはフィフスセクターによって支配されている。

どんなに頑張ったって、勝敗指示が出されれば、それに従わなきゃならない。

和深がサッカーを続けるためには、目立ってはいけないんだ。

「例え勝敗指示が出てても、円堂君ならきっと変えてくれる。
もう一度、あの頃のサッカーに…
伝説のイナズマイレブンに…!」

そういうと、女の人は去っていった。

「なんなんだ、あの人…」

「…霧風。」

和深がそう呟いていた。


凍りついた心がじんわり、とける


(不思議な人だったな…)

(……。)

(ねぇ、和深?)

(今の人…霧風だよ…!!)

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