コンビネーション!
□コンビネーション!
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【コンコン】
「あ、どうぞ!」
気持ちがいいくらいに晴れ渡る空、気持ちよい風。
カーテンがふわりと舞う、穏やかな午後。
「和深ちゃん、きたよ!」
簡単な英語で書かれた本を読んでいたときに入ってきた。
梓だ。
「梓さん!
今日はリハビリいいんですか?」
「今日は午前中に済ませてきたよ!
優一君と一緒にね!」
一緒といっても同じ時間、同じ部屋なだけだが。
「優一さんって、剣城のお兄さんでしたよね?
なんだかんだでまだ会ったことないなぁ…」
一週間位入院しているが、まだ会ったことがない。
剣城に似ているのか、はたまた全く別の顔なのか。
「じゃあ今日優一君のお部屋に遊びに行こうよ。
きっと喜んでくれるんじゃないかな、和深ちゃんかわいいし!」
「か!?
かわいくなんかないですよっ!!
それにあたし今顔に怪我してるし…」
額と頬に一つずつ大きな絆創膏が。
「大丈夫、それも含めて和深ちゃんなんだから。
それに病院なんだから、怪我してる人だっているもん!」
和深の絆創膏、梓の膝、優一の脚。
怪我人だらけだ。
「もうほら行くよ、早く!」
急いでと急かしながら和深の腕を引いた。
「わかりました行きます、行きますからっ!」
*
「和音先輩、和深先輩の病室ってこっちじゃないですよね。」
「いや、多分こっちにいる。
弟の勘ってやつだよ。」
行き先が同じということで一緒に着た和音と剣城。
どうも和音の行き先が違う。
「ここ、兄の部屋なんですが…」
「そうなのか?」
コンコンとノック音。
返事が聞こえると、扉を開けた。
「兄さん、今日は賑やかだね。」
中にはいつもと同じくベッドにいる兄、部活の先輩、たまに部活に来る雷門サッカー部のOG。
「京介!
梓さんが和深ちゃんをつれてきてくれたんだ。
ずっとサッカーの話をしてたんだ!」
「和音、よくここだって気づいたね。
あたし今日はじめてここにきたのに!」
剣城の後ろにいた和音に駆け寄った。
「へえ、君が和深ちゃんの弟の和音君か!
噂通りそっくりだね!」
二人並ぶと更に際立つ。
「「だって、双子ですから!」」
コンビネーション! 二人いればなんだって!
(息もぴったりだね!
京介、俺たちもやってみるか!)
(は!?)
(剣城ーやってよ!)
(誰がやるか!!)
(こら、先輩たちに向かってそれはないだろ!)
(……。)
To be comtinued!