コンビネーション!

□信じられない
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日曜日。

天気は曇り。

午後から雨がふると天気予報がいっていた。

和深は一人バスに乗って、都心の方に向かっていた。

ホーリーロード全国大会に向け、部員にお守りを作ろうと計画している。

今日は部活を休み、買い出しに。

神童、円堂も渋々OKをくれた。

今日は守備メインの練習をするといっていた。

和音が活躍出来るようにと、自分より少し大きくなったような気もする弟の頭を撫でてきた。

少し照れながらも微笑む弟。

まるで鏡をみているかのような気持ちになる。

ずっと同じ姿、同じ髪型で面白おかしく過ごしてきた。

そろそろ潮時なのかもしれない。

いい加減、卒業しなければならない。

「はぁ…」

ため息。

膝に置いた鞄についている、和音と色違いのクマのマスコットを撫でた。

ちょうどいい機会、髪型を変えようかな。

さっき買ったばかりのファッション誌を広げた。

キラキラ輝く少女たち。

自分もなりたいなと思うのは、普通の女の子の証なのかもしれない。

サッカーが好きなだけの、双子の弟がいるだけの、普通の女の子。

将来の夢もあるし、好きな人だっている。

それでも弟のことが気になる。

矛盾した気持ち。

ぐるぐるぐるぐる。

(ダメだなぁ、あたし…
もう中二なのに、和音ばなれしなきゃなのに…)

バスが右折していく。

曲がり終わる寸前、バスに走る大きな衝撃。

(な…に…?)

吹き飛ばされた身体。

全身が痛い。

全身に突き刺さる割れた窓ガラス。

何があったのか把握できない。

聞こえるのは子供の泣き声、狼狽える声、悲鳴。

何度も声をかけられるも、殆ど聞こえない。

「和音…」

残る力で弟の名前を呼んだ。

そして意識が消えた。


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