コンビネーション!
□大っ嫌い!!
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帰りのホームルームの鐘が鳴ってから、約五分。
サッカー部棟の更衣室兼談話室の扉が開いた。
今日の一番乗りは和深。
どうせ着替えなきゃならない、更衣室一番乗りでよかった気がする。
溜め息を吐きながらロッカーをあけ、荷物を入れた。
学年カラーの水色のリボンを外し、ボタンを外し。
「お、和深!
早いな、帰りのホームルームはどうした?」
ちょうど脱いだか脱がないかのタイミングで、円堂が入ってきた。
「きゃっ…きゃああああ!!」
「うわああああ!!」
すぐさまシャツを着る和深。
両手で目をふさぐ円堂。
チラリと指の間だが開いている…。
「出てってください!!
今すぐ!!あたしがいいっていうまで校庭でも走っててください!!!!」
顔を真っ赤に、涙を浮かべながらいった。
円堂は一目散に更衣室から出ていった。
*
「何、今日の和深すげー機嫌悪いじゃん。」
「円堂監督に着替え覗かれたんだってさ。」
「ちゅーか、和深の絶壁みてもおもしろくなくね?」
「絶壁だもんな…」
見事なまでの絶壁。
この絶壁だからこそ、和音と入れ替われるのだが。
「そんなに絶壁絶壁いわないでよ!!
もうやだ帰りたい…心折れそう…」
折角円堂守のことを少しだけ信用出来そうだったのに…
「なんだ、和深帰るのか?
折角シュートみてやろうと思ったのに。」
「なんですかそれ、ベンチのあたしに対するイヤミですか!?」
一軍にあがってから三ヶ月。
練習中もなかなかシュートの精度があがらず、なかなか試合にもでれない。
二軍にいた頃はFWだった。
点の取れないFWなんて、チームに必要ない。
故に殆どベンチに座った状態で試合が終わってしまう。
「これからは機会があったらどんどん選手交代もする。
勿論雷門の紅一点、和深も使うからな!」
くしゃくしゃと頭を撫でられた。
「どうしてあたしばっか構うんですか!?」
「似てるからだよ、あいつに。」
あたしはあなたが大っ嫌いですっ!!
(そんなの理由に構わないでください!!)
(おいこら!
女の子なんだからもっとおしとやかにしろよ!)
(うるさいっ!!)
(和深のやつ荒れてんなー)