コンビネーション!
□あたしを馬鹿だと罵って
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Side:和深
久遠監督が雷門サッカー部を辞めた。
最後に残した言葉は、
「オレの役目はもう終わった。」
なんのことだかさっぱりわからなかった。
そしてその代わりに新しい監督が来た。
あたしの選手生命も終わったかなって思った。
でも、新しく来た監督は、『円堂守』。
十年前の雷門サッカー部でキャプテンを務めていた、伝説のゴールキーパー。
あたしの憧れの人。
でも、一番来て欲しくなかった人。
あの円堂守と一緒にサッカー出来るのは嬉しいけど、それは円堂守がフィフスセクターの手先になったってことだから。
十年前のFFIの映像をみる限り、純粋にサッカーを楽しんでいたはず。
あの純粋なサッカーはどこに?
あたしの憧れていた円堂守はどこにいってしまったの?
辛くなって、円堂守に冷たく当たってしまった。
そんなこともあって、今日は部活に出る気分じゃない。
自分の中でぐるぐると、いろんな感情が回っている。
「あれ、和深今日部活は?」
「うーん…ちょっと今日は休む…」
今日は早くお家に帰って、お母さんのお手伝いをしようかな。
「和深ちゃん…」
心配そうな眼差しをした茜。
「ごめん、今日はちょっと…ね。」
そういって直ぐに教室を出た。
「やっぱりな。」
「和音!?」
下駄箱のところで待ち伏せされていた。
「どうせ和深も帰るんだろ?」
「うん、帰る。
なんか部活やる気分じゃなくて…」
和音に迷惑かけちゃったかな…
和音はサッカー部に行きたいって思ったかもしれないのに。
「オレも、今日はちょっと行ける気がしないよ。
新しい監督に、少なからずショックを覚えたよ。」
…あたしたち、やっぱり双子なんだね。
「…ねぇ和音、帰ろう…
今日はあたし、ゆっくりお風呂に入って色々考えてみる…」
「それがいいよ。
うん、それがいい。」
お願い、あたしを馬鹿だと罵って
(円堂守に当たるのもお門違いだってわかってるよ…でも…)
(大丈夫、和深のことは全部わかってるから。)