コンビネーション!
□音楽室のピアノ
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ピアノの音が聞こえる。
音楽室から。
弾いているは、神童拓人。
一緒にいるのは霧野と葛城双子。
今日はサッカー部の練習は休みのようだ。
久しぶりに神童のピアノが聴きたいと、和音がいっていた。
三人とも聴き入っているため、ずっと無言状態。
普段からよく耳にするクラッシック音楽。
確か何かのコマーシャルで使われていたような。
一曲弾き終わった。
三人だけの小さな拍手が聞こえた。
「拓人のピアノ聴いたの久しぶりだね。」
「中学入ってから色々忙しかったし。
まさか和深までサッカー部に入るとは思ってもみなかったさ。」
幼なじみで、よく一緒に遊んでいた。
保育園も、小学校もずっと一緒だった。
「だって、拓人とも蘭丸とも一緒がよかったんだもん。
あたしだけ仲間外れなんてイヤだよ。」
四人のときは、素の自分を出せる。
幼なじみということを知られたくないわけではないが、成り行き上名前呼びから苗字呼びになってしまっていた。
クラスも遠く、部活以外では殆ど話していない。
「和深は仲間外れ嫌いだもんな。
ほら覚えてるか、小3のとき。」
神童と霧野と和音は同じクラス、和深ひとりだけ隣の隣のクラス。
一年中拗ねていたような気がする。
「だってあれは…完全にいじめだよ!!
和音とあたしは同じクラスにならないのはわかってるけどさ…」
双子だから、同じクラスにはなれない。
ずっとそうだったから。
「今年はオレと拓人が同じクラスで、和深と和音とも違うクラスだよな。」
「しかもかなり遠いっていうね…」
校舎の端と端。
ここまで遠くなったのは初めてだ。
「うん、吃驚だよね…
あたしは水鳥と茜と同じクラスだけど、和音はぼっちだよね!」
「ぼっちっていうな!!」
音楽室のピアノと笑い声
(オレたち、これからもずっと仲良しでいられるかな。)
(大丈夫だよ、絶対。)