コンビネーション!

□お気に入りのヘアピン
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「和音っ!
あたしのヘアピンしらない?」

小物入れをガサガサと漁る。

しかし、いつも使っている赤いヘアピンだけがない。

「いや、しらないけど…」

「やだ、どうしよう…
今日これから茜と水鳥と空野と買い物なのに…」

髪型はばっちり。

緩めに巻いて、服の雰囲気とぴったりあっている。

今日は久しぶりに部活が休みなので、サッカー部女子軍団と買い物に行く予定を立てていたのに。

「昨日帰ってきてからどこに置いたんだろ…
リビングになんて置いとかないし、シャワーの前にまず部屋に来たし…」

昨日の記憶を探ってみるも、心当たりがない。

「やばい時間だ!
今日はもうヘアピンなしでいいや…」

これ以上探していたら集合時間に遅刻してしまう。

「乗せてってやるよ、チャリ。
駅でいいんだろ?」

ここから駅まではかなり遠い。

自転車で行かなきゃならないくらい。

「ほんと?
ありがと和音!」

和音は自分の自転車を持っているが、和深は持っていない。

学校までも徒歩だし、休日もあまりでかけない、でかけたとしても商店街。

「あとこれっ!」

なにかきらきら光るものが投げられた。

「あぶなっ!!
なにこれ…ヘアピン…?」

赤い花の飾りがついたヘアピン。

「“貸してやる”よ!
別にお前のために買ったわけじゃねーんだからな!!」

きっと、買い物に行ったときに和深に似合いそうだからと思い買ったものだろう。

素直じゃない、実に中学生らしい。

「ありがと、和音!」


お気に入りのヘアピンじゃないけれど


(お、和深そのヘアピン似合ってんじゃねーか!)

(…かわいい)

(新しいやつですか?)

(和音が“貸して”くれたんだよ!)

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