コンビネーション!

□安眠day
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『頑張れー!!』

『タイム切れるよー!!』

校庭から聞こえてくる、声援。

どこのクラスだかよく見えないが、二年のどこか。

女子のジャージの色でわかった。

(あれ、和深じゃん…)

明るい髪の色の、男子ジャージを着た後ろ姿。

この学校には彼女位だろう。

(1000メートルか…
頑張れよ、和深…)

和音のクラスは今日、体育がない。

比較的楽な教科が多い。

聞くだけの授業、得意科目。

ひどく眠くなる。

集中できやしない。

【ピーーッ!】

丁度和深たちが走り始めた。

さっきまで着ていたジャージを脱ぎ、颯爽と駆け抜ける。

昔から体育は得意だった。

走っても、跳んでも、投げても。

てっきり陸上部にでも入るのかとばかり思っていた。

『和音は何部に入るの?』

『オレ?
オレはサッカー部。
雷門はサッカー強いから、内申書よくなりそうじゃん?』

『あたしもね、サッカー部。
マネージャーじゃなくて、選手としてね。』

入学式で交わした会話。

あの時はひどく驚いた。

女子なのにサッカー部に入れるのか。

しかし入部テストをあっさりと通過した。

サッカーは初心者だった筈なのに。

以前…10年程前にもいたらしい、雷門サッカー部に女子選手が。

(無茶はしないで欲しいよなぁ…)

二軍にいた頃は、よく試合でシュートを決めていた。

一乃とはいいコンビだったが、怪我が絶えなかった。

一軍にあがった今は殆どがベンチ。

いいんだか悪いんだか。

(お、和深のやつ、一番か〜…)

一番最初にゴールした。

(相変わらずだな、和深だもんな。)

欠伸が出た。

心地よい風に、先生の子守歌。


まさにこれは安眠day


(こら葛城聞いてるのか!!)

(聞いてませーん。)

(寝るなっ!!)

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