コンビネーション!

□自転車通学の特権
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「和深、今朝松風と朝練したんだってな。」

「え、何で知ってるの?」

和深が着替え終わるのを待っていたら、もうみんないなくなってしまっていた。

鍵は春奈先生がやっておくといってくれたので、お言葉に甘えた。

「調理実習前にあったんだ。
あいつ、オレのこと和深だって思ってたんだとよ。」

「そっか…
あたしも朝まで男だと思われてたみたい。」

サッカー部にいるから、男だと。

「まあ間違われたのはおいといて、楽しかった。
久しぶりに騙せてね。」

入部から一年たってしまったサッカー部ではもう殆ど間違われなくなった。

昔からそっくりなことを武器にし、人を騙して遊ぶことが多かった。

今でもたまに入れ替わってはみるも、すぐにバレてしまう。

「あはは、いいねそれ。
今日は松風だったから、次は西園か…それとも空野か?」

「どっちでもいい!
やっぱりいいね、双子ってさ。」

双子ならではの遊び。

騙したり、からかったり。

「ねえ和音、今日チャリ?」

「ああ。
朝練遅刻しそうだったしな。
後ろ乗るか?」

雷門中の自転車置き場。

水色の鑑札がついた、青い自転車が一台。

「やった!
ありがと和音!」



「風が気持ちいいー!」

河川敷を駆け抜ける、二人乗り自転車。

「ねぇ和音は髪切らないの?」

「まだ切らない。
本当にやりたいことが決まったら切るよ。」

和深と同じ長さの二つの尻尾。

この髪のせいもある、女に間違われたり。

「そっか。
みつかるといいね、うぅん、和音ならきっとみつかるよ。」


赤い赤い夕焼け空と、駆け抜ける風、自転車通学の特権。


(あたしもまだ髪切らなーい!)

(なんでだよ…)

(だって毎朝和音に結ってもらいたいんだもん!)


 

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