コンビネーション!

□廊下でばったり
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「葛城せんぱーい!」

「お、松風!
どうした、こんなところで。」

ジャージ姿の葛城。

しかし手にはスーパーのビニール袋。

階段も上に上ろうとしている。

体育の授業ではないらしい。

「移動教室なんですが迷ってしまって…」

手には、音楽の教科書とリコーダー。

次の時間は音楽らしい。

「音楽室か…
案内するよ、調理室、音楽室のすぐ上だし。」

「本当ですか!?
ありがとうございます!」

がばっと頭をさげる。

礼儀正しいやつ。

ふと葛城の頭をよぎった。

「音楽か…
たしか神童が得意だっていってたな…
オレは音楽は苦手だ。」

「そうなんですか?
オレも得意ではないですね…」

困ったように笑った。

「天馬ー!」

階段を上ったところ、西園と空野がいた。

「信助、葵!」

「よう後輩!」

同じサッカー部の新入部員と、新入マネージャー。

学年が違うので余り話したことがないが。

「葛城先輩!
こんにちは!」

「ちーっす!」

へらへらと笑った。

「葛城先輩次家庭科なんですか?」

ビニール袋に入った材料とエプロン、三角巾。

「ああ!
うまくできたら部活に持ってくよ!」

あくまでうまくできたらだが。

【キーンコーンカーンコーン…】

「やば、チャイム!!
先輩、今朝はありがとうございました!」

朝練前のあのこと。

「残念、それはオレの姉貴、和深の方だ。
オレは葛城和音、性別は男だからな。」


廊下でばったり、性別不詳な人に出会った。


(ええぇぇえ!!!?)

(ひでぇな…オレどうみても男だろ、霧野の方がよっぽど女顔だろ?)

(どっちもどっちだと…)

(あのー先輩、授業始まってますよー?)


 

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