novel original
□君が好き、だから
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ただ、怖かったんだ。
その背中が消えてしまうのが。
俺の目の前から、消えてしまうのが。
ギュ、
宵風の背中に抱きつく壬晴。
その細い腕は宵風の胸に回されている。
「み、はる…?」
「宵風、どこにも行かないで。俺、必ず宵風を助けるから」
宵風はその背中に感じる確かな温もりに、くすぐったいようなもどかしい気持ちになりながらも、自身の手をそっと壬晴の手に重ねる。
「どうして、そう思うの…」
「宵風は、なんか儚い雰囲気で、いきなり消えちゃいそうで、俺、それがヤなんだ。こうやって、手で、身体で触れていないと消えちゃいそうで…」
何でだろう。
いつも、何にも関わらないようにしていた、無関心を決め込んでいた俺なのに。
宵風の事になると、心配で
胸の奥がキュウっとなって、苦しい。
宵風の事になると、無関心じゃいられなくなる。
「大丈夫だよ…。俺はずっと、壬晴の側にいる」
「…ホントに?」
「約束する…」
腕を放すと、宵風が振り向き俺の顎に手をやり目線を合わせる。
「…これが、好きって感情かな…」
「ぇ…///」